本編 第一部
三章 「戦火の暗殺者」
第十六話「放課後の戯れ」
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放課後、生徒たちが勉強の緊張から解放されて威勢良く部活へ向かう者や下校する者であふれていた。豊村 伊佐は、桜花 友恵と一緒に剣道部に向かっていた。剣道部の見学ついでに桜花 友恵はこのなんだか底知れないクラス一の美女に一緒に歩くだけでも顔が赤くなってどうしようもないのだが、天拳流古武術の師匠の孫娘と手合わせできるとなると物心ついたときには竹刀を握っていた少女剣士は、不思議と気迫がみなぎってくる。。
「豊村さん、天源流ではどんな稽古するんです?」桜花 友恵はそんなことを聞いた。
「ああ、まず体力と筋力をつけるんだ。といってもわたしも女だからその、ボディビルダーのような体はいやだから自分自身で細身だけど瞬発力とパワーと持久力のある筋肉をゆっくりゆっくりつけていくんだ。そうすると細くて女らしい柔軟で引き締まった筋肉がつく」
「ええっ、伊佐さんぜんぜんスタイルいいし、触るとやわらかいしこれでもそういえば300kgを片手で上げてましたよね。すごいどうなってるの?」
「まあ、生まれたときからやらなかったら無理な鍛え方だよ。だけど体力と筋力は基本中の基本。そこから技に入って打投極の一つ一つを極めていく。でも、天源流の真の技は一つだけ。小さい頃からずっと練習してできるようになる。それを知るための技を、名を『神技』と呼ばれるものの習得が真髄。そしてそれを経て知ったことを奥義とする」
「『神技』・・・・・・ですか?」
「そう、人間の究極的な所に存在する技。神に通づる技。たとえば、たちどころに病気の人を治す。水の上を歩く。千里の彼方を見通す。目を閉じて全てを察知する。壁を歩く。宙に浮く。飛ぶ。触れていないものを動かす。といったものだよ」
「それ・・・・・・人間に可能なんですか?」
「うーん、私の流派でいうと正確には無理なんだけど。だって神様が決めた法則を人間も森羅万象もその法則にそって動いてるんだから。でも天源流というくらいだからね、天の源を知ることがわが流派の奥義なんだ。だからね『神技』の習得はけっして必須じゃない。天源流が示す真の技、‘一なるもの’と呼ばれるものを知ることを奥義とする」
「うー、難しいなー。単純に強くなればいいんじゃないんですか?」
「まあ、今だだれもその奥義に到達してないから内の門派の誰もね、‘一なるもの’もただの名前で奥義そのものを言うものではないから。そうだな、内のご先祖様の我が流派の創始者と明治の継承者の一人が、それに一番近づいたとは言われてはいる」
「えーと天源流の明治の達人って、豊村 光臨?」
「そう、その人。彼は、『神技』の一つを体現した人で、相手を触れただけで力自慢だろうが武術の達者なものだろうが自由自在に操ったといわれてる。小さい頃から鳥や獣と話が出来て遊んでいたというし。ものすごい人格者だったから指導者としても名前が
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