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二十の年を生きた青年
完結
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だろう。私は既に人間ではない、ナマケモノ以下、小さいころ爆竹で殺して遊んだ蛙以下の下劣な肉片にまで成り下がったというのに。なにが、私を傷つけるのだろう。

一八歳。祖父母が死んで四年経った。
世間は今はクリスマスカラー一色である。
私の周辺の四年前の話題は既に忘れ去られ、私は深夜に食品の買い出しに行く。
以前昼間に買い物へ出たことがあったが、玄関を出れば人殺しだの、クソニートだの、見たくもないスプレーで書かれた暴言が記されてあり、それを見る事はあまりにこたえた。夜ならあまり見える事も無かろうし、
…本当のところの理由は世間に、近所に私の姿を極力曝したくなかったからだ。
私は痩せ、皮と骨のみの、肉片どころか屍のようなモノに変わってしまっていたためだ。
 そんな日々が続き、二〇歳
この日で私は人生の幕を下ろすわけだが、自身で自身を殺し、人生を終わらせることはやはり後悔しか生まれぬ。
 これからやり直せたかもしれない可能性を、希望を、全て絶やすのだから。
 私がSの死を知ったのは私の死ぬ前日の事だ。Sは借金の返済が追い付かず、死に追いやられたらしい。借金の原因は友の連帯保証人なるものだったそうだ。
 結局Sは私の友ではなかったし、
Sが友だと思っていた友も、そちらから見ればSは友ではなかったのだ。
 私は世の中の全てに憤りを感じ、体中をナイフで刺し、内臓を抉り出し、目を刺し、心臓をグシャグシャと裂いて死んだ。
痛みはなかった。それまでに心へ刻み込んだ痛みは体を刺すナイフよりも遥かに大きなものだと知った。
 しかし、死ぬ間際、瞬き一つ、呼吸の止まる寸前で私は気が付いてしまった。
私の犯した過ちの数々に。
私は幼いころから人を疑う癖があった。それは私によくない考えを膨らませ、その膨らんだ感情が私をいまこうさせていたのだ。
私は祖父母に、学校の先生に、環境に、友に、自らの過ちを擦り付けていただけだったのだ。
この記録は今を生きる若者に届くだろうか。
もしも、届くとすれば伝えたい。
人間は失ってからではもう取り戻すことはできない、なんていう事は一切ないのだ。
私のように自らの人生を原点から悔い、嫌い、呪うことは自身の破滅を誘うのだ。

いつか見た景色
視界はぼやけている。
私は、なんだったんだ。
目から雫が零れたのを見たところで、私は、この二十年という人生を終えた。
                                    Fin
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