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二十の年を生きた青年
完結
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、易しく
接してくれてこそいたが、その易しさが妙に機械らしいことに気が付いたのは六歳の頃。機械らしい、という表現を訂正するとしたら、《なにかを隠そうとするかのように、ロボットのように私に尽くしてくれていた。》と表現すべきか。
 小学校に入学し、私は祖父母のあの、機械じみた、
人間らしさの無い奇妙な忠誠の意味を知る。
 私には祖父母は居ても、父母はいなかったのだ。
 私の疑問は日に日に大きくなる。
 小学校も階級が上がれば他者の、同期のものの精神的向上もあり、
私に何故父母がいないのかを疑問に思い、それはやがて「皆とは違う」といった
差別的感情を生んだのだ。私は絶望した。
 小学四年の秋頃、私はいじめに遭っていた。理由は書き記す事も、思い出す事も忌々しい事は想像に難くなかろう。
 私は学校でどのような仕打ちを受けているかを祖父母に私は明かし、
何故私に父母がいないかも問うた。
祖父は答えた。
「お前の親は身勝手だから産んですぐ離婚したのだ」と。
 そしてさらに驚くことに祖父母は私のいじめられていることに関する言葉には目も向けず、口を紡いだのだ。
 その日を境に私は学校へは行く事をやめ、そしてまた易しくしてくれていた私の祖父母への私の中での感謝の念は消え去り、まるでどこかの話に出てくるような邪知暴虐な王ぶりに、乱雑に、奴隷を使う富豪のように、私は祖父母を扱った。
 年は十歳、私は引きこもりになり、外を歩くことを辞めた。
 だが学校へ行かないこと一月が経ったある日、私の元へ一人の男が訪ねてきた。
 私の友Sであった。
Sは家柄にとらわれない、人を蔑むことなどしない温和な性格であり、差別的迫害を受けていた私といつも一緒にいてくれた友だ。
Sは私を心配してくれ、毎日のように私の元へ訪れてくれた。
 それが私の幸せだったし、生きがいであった。
今思えばそんな小さなものを生きがいという私はそれこそ子供でしかなかったうえに、私の純粋さを物語っていたのだろう。
 しかし私はある日現実を突き付けられた。
彼、親友Sは私から見れば親友であったかもしれないが、彼からすれば私は友ですらなかったのだ。
 どうやら私は《奴隷》に騙されていたらしいのだ。
 小学四年の頃、祖父母にいじめの事を告げたとき、学校へ当時私がよく一緒にいて、家に上げたこともあったからだろう。Sが私の友と知っていて、Sを私にくっつかせるよう仕向けていたのだ。
 それを私は祖父と学校の先生との電話の会話で知った。
 衝撃はあまりに大きく、そして、人間を信じることを辞めた。信じることを辞めた今、話す者が居なくなった今、私の心は空になった。最早は口などいらぬ。
私はその時から喋る、ということをやめ、完全な無口になった。
言葉とはよくできているモノだとこの時私は思っ
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