As 03 「騎士達と少年」
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でも言うつもりか?」
「それはできない」
「……そうか」
夜月にも立場や事情があるのは分かっている。そもそも我らが行っているのは犯罪行為だ。彼のような年の子供に手を染めろというこちらがおかしい。
だが、こいつなら主のために協力してくれるのではないかと思っていた。……いや、我らが行っている行動は主が望んだことではない。こいつが主が悲しむようなことをするはずないか……夜月は私よりも大人かもしれんな。
「……だが!」
はっきりと拒絶された以上、こいつは主の――私達を脅かす敵だ。
一度レヴァンティンを引き、せめて楽に死なせてやろうと急所目掛けて振るった。先ほどと違って止める意思のなかった剣撃は夜月の肌を容易く斬り裂く――ことはなかった。
それは、彼がこちらが剣を引くのと同時に抜剣し、紙一重のところで受け止めたからだ。先ほどまでどこか虚ろで悲しげだった夜月の瞳には、抗おうとする意思が見える。
「この状況で勝てると思っているのか?」
「思ってないさ。だが……あいつが泣くかと思うと、楽に死ぬわけにはいかない」
「ああ……確かにお前に何かあれば主は悲しむだろう。だが、我らも止まるわけにはいかない。たとえ主を悲しませることになろうとな!」
強引に振り切ると、夜月は簡単に吹き飛んだ。自分から飛んで距離を作ったのだろうが、片腕を負傷しているためにまともに競り合うことができないのも理由だろう。
距離を詰めて追撃するが、紙一重のところで回避または防御される。移動速度はあの少女に及ばないが、反応速度は上か。
いや……それだけじゃないか。こいつには何度か剣術を教えたことがある。多少厳しく扱いても文句のひとつも言わなかったから、つい熱を入れてやってしまっていたな。ヴィータからは加減しろと怒鳴られたこともあったな。
持ち前の反応速度もあるのだろうが、そこでの経験からこちらの太刀筋をある程度予測しているのだろう。しかし、私の本気があんなものだと思ってもらっては困る。
「ふ……!」
「くっ……」
「いい加減諦めろ。下手に避けていれば、かえって苦しい思いをすることになるだけだぞ」
「たとえそうなったとしても、諦めるつもりはない。俺ははやてを救いたいんだ」
「そう言うのは簡単だ。お前にいったい何ができる? 我らと共に行動はできないだろう!」
「ああ。だが、はやてを救う方法はシグナム達の取る道だけじゃないはずだ。俺はそれを探す!」
競り合い状態から再び距離が開ける。こちらはまだ余裕があるが、夜月は肩で息をしている状態だ。
――当然といえば当然だろうな。数でも実力でも夜月のほうが劣っている。我らの甘さが彼を生き残らせているだけだ。負傷によるハンデ、緊張や恐怖によって肉体的にも精神的にも限界に近いだろう。むしろ
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