As 03 「騎士達と少年」
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を落としていたのなら違っただろうが。
それにしても、今ので身震いひとつしないとはな。よほどの胆力なのか、それとも私が命を奪うような真似はしないとでも思っているのか。もし後者なのならば、その考えは甘い。私は主のためなら鬼にでも悪魔にでもなってみせる。
「……はやての寿命は……あとどれくらいなんだ?」
我々への問いではなく、確信に迫る一言に思わず手が震えた。レヴァンティンが彼の首筋をわずかだが斬り裂く。
夜月は一瞬ばかり痛みで顔を歪ませたが、それ以外に反応を見せない。自分の身よりも主のことを優先させていなければ、現状の説明がつかない。
しかし、魔導師とはいえ彼は主と同年代の子供だ。自分の命をかけてまで、他人を優先することがあるのだろうか。あるとすれば、いったい何が彼をここまでさせる……。
「何の話だ?」
「……真実は話してくれないんだな」
夜月の浮かべたどことなく寂しげな顔に罪悪感を感じてしまうあたり、私も親しくなっていたということなのだろう。
彼は一度目を閉じて大きく息を吐いた後、再びこちらに視線を向けた。
「だったらそっちの反応を見て判断するよ……今聞くことでもないんだが、話してもいいか?」
この場での最善は、一刻も早く夜月の命を絶つことだ。
先ほどの戦闘が終わってからまだそう時間は経っておらず、彼の様子からして誰かに連絡をしていることもなさそうである。ここでもし行動を起こせなかったら、事態は最悪へと向かう他ない。
しかし、現状に全く動ぜずにいられる彼の内が気になるのも事実だ。最後には必ず……なのだから、話ぐらい聞いてやってもいいだろう。
騎士としての誇りを捨ててでも……と決意し、ヴィータにも先ほどあのようなことを言ったのに私も甘いな。
「好きにしろ」
「そうさせてもらうよ……まず、俺ははやてと長い付き合いだ」
「そうね。ショウくんとはやてちゃんの仲が良いのはよく分かるわ」
「そうか。なら……俺がシグナム達をはやての親戚じゃないと思っていた、と言っても信じてもらえるかな」
我々より前から主はやてと交流があったのは事実としか言いようがない。主が話す思い出の量やアルバムにあった写真からも明らかだ。
主の両親が亡くなっているということも、主が前に話したと言っていた。つまり夜月は家庭事情にも精通していることになる。いきなり現れた私達を親戚だと信じるのは無理としか言えん。だがそこに一切触れることなく、我らとも普通に接していたのは主はやてがそれを望んだからだろう。
主が親戚だと嘘を言ったのは、夜月が魔法文化を知らないと思っていたからだ。時期を見て話すとは言っていたが、主のようにすぐに適応するのは彼の性格からして難しい。
――考えれば考えるほど、主と夜月が互いを思いやり
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