As 03 「騎士達と少年」
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店街の一角に置いてきた。だが夜月は……先ほどのヴィータの様子では、そのまま放置した可能性が高い。
合流されている可能性もあるが、ヴィータもあれだけ取り乱していたのだ。夜月は子供らしからぬところが多いが、同年代と比べた場合だ。ヴィータのように取り乱して、冷静な判断をしていない可能性も充分にある。
「あのさ……」
「ヴィータ」
「分かってる! ……けど、あいつははやてのこと大切にしてる。それはみんなだって知ってるだろ!」
「……ええ。でもねヴィータちゃん」
「それは分かってんだって! でもよ、あいつははやてを売るような真似しないって思っちまうんだよ!」
ヴィータの言葉に返事をするものはいなかった。誰もがどうにかしなければと思う一方で、ヴィータの言ったようにあいつは主を不幸にするような奴ではないと思っていたからだろう。
「さっきだってあたしと同じように戸惑ってたのに、必死に剣を振ってたんだ。最初は何でって思っちまったけど、あたしらと繋がりがないって思わせるようにしてくれたんだと思うんだよ。だから……あたし、あいつを思いっきり攻撃しちまった……」
「そうだったの……だからあんなに」
「……でもさ、それってわたしが都合の良いように考えてるだけかもしんねぇよな。もしそうなら……いや、はやてのために何だってするって決めたんだ」
ヴィータは涙を浮かべながらも、覚悟が窺える表情を浮かべている。シャマルはそんな彼女をそっと抱き締めながら頭を撫でた。私とザフィーラは、何も言わずに待ち続ける。
「……見つけた」
ぼそりと呟かれた声だったが、静寂の中では大きな音だった。視線を向けると、黒衣に身を包んだ少年の姿が視界に映る。
少年がゆっくりと近づいてくるが、私達は身動きひとつしない。まさか彼のほうから出向いてくるとは予想していなかったからだ。
距離が縮まるに連れて、少年の姿がより鮮明になる。ヴィータの攻撃で負傷したのか左腕を押さえており、右頬からは血が垂れている。それなりに深く切っているようで止まる様子はない。
ヴィータは強い罪悪感を感じているようで、少し後退った。私は皆よりも一歩前に出ながら、レヴァンティンだけを起動し、剣先を彼に向けた。
「……よく自分から来たものだな」
本来ならば自殺行為に等しい行動だ。だが夜月の表情は、自殺をしに来た者のものではない。目の前に突きつけられている剣にさえ、視線を向けたのは一瞬だった。現在の状況に恐怖を感じていないように見える。
「これが愚かな行動だと、理解できていないわけではあるまい」
レヴァンティンを振るい、首筋で寸止めしても表情に変化はない。ヴィータが私の行動に反射的に動こうとしたようだが、先ほどの決意は本物のようで言葉を発しはしなかった。今ので首
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