As 03 「騎士達と少年」
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死なせたりしない。そう我らは決めたのだ。夜月に何かあれば、主はやては確実に悲しむだろう。だが我らはもう止まることなどできない。最悪、あいつの命を絶つことになろうとも……。
「ちょっと待てよ。シグナム、いったいあいつに何をする気だよ!」
「言わなくても分かるだろう」
「――ッ、あいつに何かあったらはやてが傷つくんだぞ! 泣いたっておかしくねぇ!」
「……それがどうした」
自分で思っていた以上に冷たい声が出た。
ヴィータの気持ちは充分に理解できるというのに。蒐集を始めると決めたときに覚悟を決めたというのに、今のは完全に八つ当たりだ。私がこれでは、皆が余計に考え込んでしまうではないか。
「ヴィータちゃん、シグナムだってそれは分かっているはずよ」
「なら……!」
「ヴィータちゃんだって本当は分かってるんでしょ? ショウくんの行動次第ではやてちゃんが危ないって」
シャマルの言葉にヴィータは黙って俯いた。同じ内容を言ったとしても、私が言っていたならヴィータは反抗していたかもしれない。今のようなとき、シャマルは必要不可欠だと強く思う。
「ヴィータちゃん、はやてちゃんのことが大好きでしょ? 死んでほしくないから、はやてちゃんとの約束を破って蒐集を始めたのよね?」
「……うん」
「だったら……シグナムがしようとすること、分かってくれるわよね?」
ヴィータはしばしの無言の後、首を縦に振った。顔を見せないようにしているのは、泣きそうになっているからかもしれない。
自由奔放で私には反抗的な態度を取ることも多い奴だが、根は優しい奴だからな。主はやてが傷つくのも、夜月を傷つけるのも嫌なのだろう。
「心配するなヴィータ。お前は何もしなくていい」
最悪、あいつの命を奪わなければならない。ヴィータやシャマルにさせてしまえば、確実に顔に出るだろう。ザフィーラは問題ない気もするが、蒐集すると決断したのは私だ。この十字架を背負うことになった場合、私が背負うのが筋というものだろう。
「シグナム……」
名前を呼ばれるのと同時に、そっと肩に手を置かれていた。視線を向けると、ひとりで背負う必要はないと言いたげな顔をしたシャマルの顔が映る。
シャマルとは長年の付き合いだ。先ほどの考えたことを見通されたのかもしれない。もしかしたら顔にも出てしまっていたかもな。だが
「心配するな」
そう言って、肩に乗せられていたシャマルの手をそっと退ける。彼女も納得したのか、それ以上は何も言わなかった。
「……なあシグナム」
「ん……今度はどうした?」
「その……いきなり襲うのか?」
「……ああ」
できることなら騎士としてやりたくはないが、事態は一刻を争う。魔力を蒐集させてもらった少女達と守護獣は商
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