As 03 「騎士達と少年」
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とある公園の街灯の下にあるベンチには金髪の女性が座っており、近くには青色の毛並みの守護獣がいる。言うまでもなくシャマルとザフィーラだ。
近づいている気配を感じて視線を向けると、私服姿のヴィータが立っていた。戦闘前とは打って変わって、自分を責めているような顔をしている。
「ヴィータちゃん、どうしたの?」
「あいつが……あたし、あいつを……」
今にも泣きそうになるヴィータにシャマルが駆け寄り、落ち着くように話しかける。
ヴィータは我々の中では最も精神が幼い。だが、主はやて以外のことでここまで取り乱すことはないはずだ。いったい何が……
ふと頭を過ぎったのは、主の友人である少年。彼とは出会ってからまだ数ヶ月しか経っていないが、頻繁に主に会いに来ていた為、我らも親しい間柄になった。
彼は同年代の子供と比べると表情がないのだが、主のことを大切にしてくれているというのは見ていれば良く分かる子だ。それに彼がいると主は本当に楽しそうに笑う。だから最初は警戒していた私達も次第に心を開いていったのだ。
彼が作ってくるお菓子で陥落したのか、純粋なのかは定かではないが、ヴィータは彼に懐いていた。主はやて以外で取り乱すとすれば彼に関することくらいではないだろうか。
「ヴィータちゃん、落ち着いた?」
「お、おお……」
「じゃあ何があったか話せる?」
「……あいつがいたんだ」
「あいつ?」
「先ほどのヴィータの様子から推測するに……夜月ではないのか?」
ザフィーラの問いに、ヴィータは首を縦に振った。シャマルはヴィータを慰めるように頭を撫でる。
シャマルも顔にこそ出してはいないが、優しい奴だ。夜月ともよく話していたから、内心複雑だろう。……私も似たような感情を抱いているか。
「……シャマル、あいつの居場所を特定できるか?」
「え……ええ、大まかな位置なら出来ると思うわ」
「ならできるだけ早くやってくれ」
夜月が魔導師だと分かった以上、あいつの存在は危険だ。
この世界に魔法文化は存在していないが、デバイスを所持しているということは魔法文化のある世界と繋がりがあるということになる。管理局に知り合いがいてもおかしくない。
そのため我らと親しい間柄にあったと知られてしまえば、必然的に主の存在が明るみに出てしまう。主の存在がバレてしまえば、主に今行っている行動を隠し通すことは不可能だ。そうなれば優しい彼女を傷つけてしまう。
いや、それだけならまだいい。魔力を集めると決めたときに、主に嫌われることになったとしても……と覚悟は決めたのだから。問題は、我らの行動を知った主は頑として魔力を集めようとしないだろう。たとえ自分が死ぬと分かっても、意思を変えようとはしないはずだ。
騎士の誇りを失うとしても、主はやてを
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