暁 〜小説投稿サイト〜
問題児と最強のデビルハンターが異世界からやってくるそうですよ?
Mission5・B ~大切なもの~
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きた今までの環境が環境だっただけに経験は少ないが、それでも彼は毎回子供たちの人気と信頼を得てきたのだ。
 先ほどあったコミュニティの子供たちとの触れ合いでも、彼の好かれやすさは見て取れる。
 そんな彼でも、目の前にいる少女の心の壁はそう簡単に崩せない。未知の体験というものにはその場の助言でもない限り、どうすればいいのかわからなくなるのが人間と言うものだ。
 ニール本人の態度に若干のイラつきを感じつつも、ダンテはなんとか信頼をしてもらおうと話しかける。

「ま、こっちは新人だしよ。そっちがあんま信頼できないのもしゃあないかもな。じゃあどうすりゃ信じてもらえるのかね、教えてくれよLady(お嬢ちゃん)?」
「……なにしたって無駄よ。いいからほっといて」
「辛そうな顔してる女の子を慰めることもできないんじゃあ紳士失格だね」
「大丈夫よ。最初からあなたは紳士なんかにはなれてないんだから」
「こりゃまた厳しい意見だ。ハードル高いな」
「そう思うなら諦めたら?」
「こういう時に諦めずに精進できるヤツってのがイイ男の条件なんだよ」
「あんたは顔がいいだけでしょ」
「そりゃ顔は好みって受け取ってもいいのかい?」
「客観視ができるだけよ。馬鹿なの?」

 ……うーん、こりゃダメだな。
軽薄な笑みを浮かべながらも、心の中でダンテは落胆する。
 会話をしようとしても意味がない。さっきからありとあらゆる罵詈雑言を受けてばかりで、こちらはそれを躱すことしかできていない。
発せられる言葉が全てウニのように棘だらけ。全く心を開いてくれる気配がないのだ。
 こりゃ諦めるしかないか……そんなことをダンテが考えたそのとき。

 ズドガァン!! と。コミュニティの敷地内を、激震が走り渡った。

「ん?」

 別館が根元からグラグラと揺さぶられ、爆音がダンテの耳に飛び込んでくる。
 音はどうやら別館の入口から出ているようだ。そこにはちょうど、ダンテが感知していた別のコミュニティの人間≠スちがいる。
 十六夜の匂いも混じっていることから、さっそくドンパチをやらかしているらしい。
 あちらに敵意はないというのに、どうにも乱暴な手段を彼は取ったようだ。
 血気盛んなのはいいが、もうちょっと時間を考えて行動してほしいものである。
 
「イザヨイのやつ、まぁた無茶やりやがったな? ったく、お子ちゃまたちが起きちまったらどうする――」

 愚痴を漏らしながらニールの方へと向き直ったそのとき、ダンテの口が止まる。
 見ればニールが、頭を抱えて屈みこんでいたのだ。
 目を固く閉じ、カタカタと小さな身体を震わせている。
 先ほどの轟音と衝撃に、やはり怯えてしまっているのだろう。

「――言わんこっちゃねぇ。ガキをビビらせんじゃねぇっての
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