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問題児と最強のデビルハンターが異世界からやってくるそうですよ?
Mission5・B ~大切なもの~
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「……ル」
「……あん? 悪いな、よく聞こえなかった。もう一回言ってくれるか?」
と、考え事をしているうちに、少女が口を動かしていることに気付く。
質問に答えてくれるのはありがたいが、ボーっとしていたのと、どうもその声が小さくて聞き取れない。
純粋に聞き取れなかっただけなのだが、どうやらダンテが訊ねなおしたことを嫌味だと思ったらしい。
少し嫌そうな顔をして、もう一度少女は言葉を放つ。
「……ニール」
ダンテの笑みが、凍り付いた。
「……あ?」
耳を疑った。
聞き間違いなのかとも思った。
彼女の口から発せられたその単語を聞いただけで、まるで魔法にでもかかったかのようにダンテの思考が止まり、全身からサァっと血の気がなくなっていくのを感じた。
たった一言。それもただの、名前だというのに。
大げさすぎるほどまでに、その少女の言葉はダンテに衝撃を与えた。
そして、思い出す。
この髪。
この目。
この目つき。
その、名前。
その何もかもが、すべて一緒だった。
――わかったかい、トニー。その子たちはあんたの、あんただけのために生まれたんだ――
「……ぇ。ねぇったら!」
「――ッ!!」
停止していた思考が、少女の掛け声によって再び活動を開始した。
慌ててそちらを見てみれば、少女は腕を組んで眉をひそめ、さもご立腹という感じだ。
「何度も言わせないで。ニール。これがあたしの名前……わかった?」
「……おお、わりぃわりぃ。ニールだな。覚えたよ」
謝罪するようにダンテは手を振るが、ニールはご機嫌ななめなようで「ふんっ」と鼻を鳴らしてそっぽを向く。
困ったようにダンテは頬を掻くと、拗ねているニールをなだめるように言葉をかける。
「で、ニールちゃん? おネンネせずにいったいここでなにしてたのか、教えてもらおうかな?」
「嫌」
が、容赦ない即答が返ってきた。
最初は驚いて腰抜かしていたこともあって可愛い少女かと思ったら、随分とはねっかえりの強い女の子なことだ。
「やれやれ、反抗的なこったな。こいつはウサちゃんも苦労してるんじゃねぇか?」
「あなたには関係ないでしょ、新人なんだから」
「これから一緒にやってこうって仲なのにまた厳しいな。お互い仲良くやろうぜ」
握手を求め手を差し出すダンテだが、ニールはキッとダンテを睨みつけ拒否する。
頑なにダンテを拒む姿勢を見せるニールに、ダンテは困ったように髪を掻く。
(こりゃあまたひねくれたお嬢さんなこった。どうしたもんかねぇ……)
子供からここまで拒絶されてしまったケースに、ダンテはこれまで遭遇したことがない。便利屋として生きて
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