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問題児と最強のデビルハンターが異世界からやってくるそうですよ?
Mission5・B ~大切なもの~
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んな時間に起きてるってのは感心しないな? トイレからの帰りならさっさとベッドに入れよ、風邪ひくぜ?」
「…………ッ」

 だが少女はダンテの言葉に応答せず、彼をじっと観察していた。
 警戒されているのだろう。初対面からあんなことをされてはそれもしょうがない。

「あー悪かった、悪かったよ。さっきは驚かせてすまねぇ。俺はダンテだ、今日からこのコミュニティで世話になってるよ。ウサちゃん……黒ウサギから聞かされてるか?」
「……!」

 謝罪、自己紹介をして問いかけるダンテ。
 すると少女は目を丸くして彼を見た。
 この反応を見る限り、やはり彼のことは知らされていたらしい。
 そのまま続けて会話をしようと思ったダンテだったが。

「…………」

 ススス、と。
 無言で後ずさりをされた。
 しかもさっき以上に警戒されているらしい。訝しげな表情でこちらを見ている。

「おやおや、こんなにカッコイイお兄ちゃんじゃ照れちゃうのかね。どうした?」

 冗談を飛ばすダンテだが、こんな反応をされるのは少々心外だ。
 いったいどうしたのだろう。
 ダンテの問いかけに、少女は小さな声で応えた。

「……黒ウサのお姉ちゃんが言ってた……銀髪の大男……とっても強いって……」
「へえ? 俺のことはご存知みたいだな、光栄だね」

 やはり知らされていたようだ。
 でもそれならどうしてこんなに警戒されるのだろう。


「……不真面目で偏食家、快楽主義で女の人にはセクハラしてくる、近寄っちゃいけない人だって」
「…………」


 なるほど。どうやら余計なこともすりこまれていたようだ。
 あの爆乳ウサギあとで覚えてやがれこの野郎。

「あいつが何言ったかわかんねぇけど、とりあえずお前には何もしねーよ」
「さっき、おどかしたじゃない」
「おっと、ありゃノーカンで頼む」

 こりゃ一本取られた、というように苦笑を浮かべるダンテ。
 こちらを睨む目つきがかなり鋭い。猜疑心の塊のようだ。
 よっぽどしつこく黒ウサギから警告されたか、もしくは本人の気質なのか……

(……ん?)

 と、そこでダンテは少女を見ているうちに何か違和感を感じた。
 違和感、というよりもそれは既視感というべきだろうか。
 この少女の視線、そして彼女自身……どこかで見たことがあるような気がする。

(……んなわけねーよな)

 とはいえそんなものは勘違いだろう。
 こんな少女とダンテが会ったことなどないし、まずダンテはこの世界に来たことがないのだ。
 少女が世界の壁を越えてこちらの世界へ来てしまうなどというのは論外だし、彼女本人と出会ったというわけではない。
 誰かと……誰かと似ている。
 そんな感じがした。

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