暁 〜小説投稿サイト〜
問題児と最強のデビルハンターが異世界からやってくるそうですよ?
Mission5・B ~大切なもの~
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だってお仕置きをしなきゃならないものだ。
 ちょっとだけ、脅かしてやるとしよう。

「へへ……」

 あちらもようやくダンテの存在に気付いたらしいが、彼がいったい何をしようとしているのかまではわからないらしく首をかしげている。
 その様子を見たダンテはニヤリと笑うと、


 次の瞬間、音もなく消えた。

「!?」

 その瞬間をしっかりと目撃していた少女は仰天した。
 こちらを見ている人を見つけたと思ったら、急にその姿が見えなくなったのだからそれも当然だろう。
 窓を開けて、地上や本館の方に黒スーツの大男の姿を探してみるが、彼は見つからなかった。
 いったいどこへ行ったのか。目の前の光景に混乱した少女はオロオロと戸惑う。
 と、そのとき。

 フッ、と。彼女の顔に影がさしかかった。

「……?」

 月が雲に覆われたのだろうかと思い、何気なく少女は頭上へと視線をうつす。
 そうして彼女が見つけたのは、やはり雲隠れした月……

「Good evening, girl?(こんばんは、お嬢ちゃん?)」

 ではなく。
 月を背にしてこちらを見下ろす、銀髪の大男だった。

「――――ッ!!??」

 あまりの衝撃的な出来事に、少女は腰を抜かしてしまう。
 それを見て大笑いするダンテ。どうやら彼の思惑通り上手くいったらしい。
 先ほどダンテが姿をかき消したのは、彼の魔技の一つ、エアトリック≠ノよるものだ。
 といっても、技とはいえそれほど大層なことをやったのではない。原理自体は極々簡単なものだ。
 ぶっちゃけると、『目にも映らぬスピード』で移動しただけにすぎないのである(まぁそのスピードというのがどれくらいかというと、人間よりも遥かに優れた動体視力を持つ悪魔たちですら目視できぬほどの速さなのだが)。
 さらに付け加えるなら、彼の魔力によって残像が残るため、対峙した者にとっては音もなくダンテが消えた、もしくは瞬間移動したようにしか見えないというトリックもある。
 それによって、ダンテは少女の眼前にまでこうして接近した、ということである。
 だが、そんなことが彼女にわかるはずもない。
 見ず知らずの人間が、いきなり消えていきなり自分の死角から現れたとなればそれはもう心臓が止まるかと思うほど仰天することだろう。
 暇つぶしの一環でやったとはいえ、少しやりすぎたかもしれないと反省する。

「やれやれ、そんなに驚いちまったのか? ちょいとやりすぎたか……立てるか?」
「……」

 ダンテは独り言をつぶやきながら少女に手を伸ばす。
 少女はダンテの手をまじまじと見つめると、やがてその小さな手を出して掴む。
 ゆっくりと立たせると、ダンテは腰に手を当てて話しかけた。

「子供がこ
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