暁 〜小説投稿サイト〜
問題児と最強のデビルハンターが異世界からやってくるそうですよ?
Mission3・A ~Community of No name~
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たコミュニティから人質を取ったり、身内の仲間を殺すのはもちろん違法ですが……裁かれるまでに彼が箱庭の外に逃げ出してしまえば、それまでです」

 飛鳥はジンの回答に顔を顰めた。
 確かにそれは裁きと言えなくもない。リーダーであるガスパーがコミュニティを去れば、烏合の衆でしかないフォレス・ガロ≠ヘ瓦解するのは目に見えている。
 しかしそんなもので彼女は納得などできない。
 できるわけが、ない。

「そう。なら仕方ないわ」

 苛立たしげに飛鳥は指をパチンと鳴らす。それが合図だったのだろう。ガスパーを縛り付けていた力は霧散し、体に自由が戻った。怒り狂ったガスパーは歪んだカフェテラスのテーブルを勢いよく叩いて砕く。

「こ…………この小娘がァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 雄叫びとともにガスパーはその身体を激変させる。
 巨躯を包むタキシードは膨張する背筋で弾け飛び、体毛は変色して黒と黄色のストライプ模様が浮かび上がる。
 彼のギフトは人狼などに近い系譜を持つ。通称ワータイガーと呼ばれる混在種だった。

「テメェ、どういうつもりか知らねぇが…………俺の上に誰がいるのかわかってんだろうなァ!? 箱庭第六六六外門を守る魔王が俺の後見人だぞ! 俺に喧嘩を売るってことはその魔王にも喧嘩を売るってことだ! その意味が
()()()()()。私の話はまだ終わっていないわ」

 ガチン! とまた勢いよくガスパーは黙る。しかし彼の怒りはそれだけでは止まらない。ガスパーは丸太のように太い剛腕を振り上げて飛鳥に襲い掛かる。それに割って入るように耀が腕を伸ばした。

「喧嘩はダメ」

 耀が腕を掴むと、彼女はさらに腕を回すようにしてガスパーの巨躯を回転させて押さえつけた。

「ギッ…………!」

 少女の細腕には似合わない力に目を剥くガスパー。飛鳥とダンテは楽しそうにそれを見て笑っていた。

「さて、ガルドさん。私はあなたの上に誰がいようと気にしません。それはきっとジン君も同じでしょう。だって彼の最終目標は、コミュニティを潰した打倒魔王≠セもの」

 その言葉にジンは大きく息を呑む。内心、魔王の名が出たときは恐怖に負けそうになったジンだが、自分たちの目標を飛鳥に問われて我に返る。

「…………はい。僕たちの最終目標は、魔王を倒して僕らの誇りと仲間たちを取り戻すこと。今更そんな脅しには屈しません」
「そういうこと。つまりあなたには破滅以外のどんな道も残されていないのよ」
「く…………くそ……!」

 どういう理屈かは不明だが、耀に組み伏せられたガスパーは身動きできず地に伏せているようだ。
 飛鳥は少し機嫌を取り戻し、足先でガスパーの顎を持ち上げると悪戯っぽい笑顔で話を切
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