第四章
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柱といってもいい人物だ。
「そうなのですか、また気合が入っていますね」
「そりゃそうですよ」
彼はにこやかに笑って答えた。
「シリーズですからね」
彼はそう言いながらグランドに向かっていた。
グラウンドには誰もいない。ただ雨が滝の様にグラウンドを支配していた。
本当に誰もいないな、石井はそれを見てそう思った。
「西武ナインはいませんね」
彼は記者の方を振り向いてそう言った。
「ええ、今は横須賀にいますよ」
その通りであった。彼等は今この雨を避け横須賀の二軍室内練習場で汗を流していた。そこで試合前の最後の調整をする為だ。
「ここに来て守備練習はやっていないんですね」
「ええ、していませんでしたね」
記者はそう答えた。石井はそれを聞いて一瞬考える顔をした。
「そうですか」
そう言うと彼は顔を元に戻した。
「ここの人工芝今年張り替えたんですけれどね」
「あ、それは知っています」
なかなかよく勉強している記者だ。最近の記者はろくに試合もキャンプも見ず特定の球団に媚び諂っている輩もいるというのに。これはテロ国家の下僕と化している者も多かった我が国のマスコミの病理のほんの一部である。
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