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問題児と最強のデビルハンターが異世界からやってくるそうですよ?
OP ~オープニング~
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 椅子は空中で何度も回転し、やがて着地すると机の前に正しく配置された。
 ダンテは机の上に足を置いてだらしなく座り込み、電話をチラリと見やる。
 それから数十秒ほどジィッと見続けていたが、一向にその電話が鳴る気配はなかった。

「……今日も仕事はなし、かねぇ」

 こういうときこそ好き勝手に暴れまわりたいというのに、今日は悪魔も休業日と洒落込んでいるらしい。
 合言葉つきの仕事の依頼がここでやってきてくるような気配はなさそうだった。
 やり場のないこの苛立ちをいったいどこへ向ければいいのかもわからず、ダンテはただ自分の事務所――デビルメイクライの天井を茫然と眺め続けた。
 こういう暇なときのためにビリヤード台なんかも一応用意してはあるが、今はそんなものをやりたい気分ではない。やってもいいが、たぶん怒り任せにショットをぶち込んですべての球が崩壊する事態となりそうだ。
 というかまず、なんで一人でそんなことをやらなければならないというのか。

「How boring……Don’t you think so, Rebelion?(退屈だ……そう思わねぇか、リベリオン?)」

 ため息交じりに、ダンテは壁にかけてある自分の愛剣・リベリオンを見て話しかけた。
 まるで何かの鉱石から大きく抉り取ったかのように分厚いその剣は、電球の灯りに照らされて鈍く輝きを放つ。
 もちろんリベリオン自体に意思は存在せず、返事など返ってくるはずもない。
 ますますダンテはやりきれない気持ちになった。
 どうもこういうのはいけない。刺激があるからこそ人生は楽しい。これこそが彼のセオリーだ。
 だがここ最近は刺激というものからほど遠く、彼にとっては味気がなさすぎて困る。ストロベリーサンデーとデリバリーのピザでもなければ、もはややってられるものではない。
 加えて、先ほど見たあの夢。
 こんな気持ちで、これから何もしないままここで座っているなど、彼にとっては地獄にも等しかった。

「……飯にしようにも、いよいよツケ払いももうダメだと言ってきたもんだからな……いよいよすることがねぇ……」

 落胆し、重いため息を吐くダンテ。
 これからいったいどうしたものかと、そんなことを考えていたそのときだった。

「はぁ……ん?」

 机の上に……というより、彼の足の上に奇妙な紙が封筒が一つ、置いてあったのである。
 しかしダンテはこんなものが自分の足に置かれたことなどまるで察知できなかった。
 誰が置いた?
 いったいこれはなんなのか?

「……」

 ふいに、ダンテは自分の口元を横に広げる。
 いったいどこの誰が置いたのかわからないが、興味がわいてきた。
 暇つぶし程度にはなるのかもしれない。
 そう思いながら、彼はその
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