暁 〜小説投稿サイト〜
SAO 〜冷厳なる槍使い〜
SAO編
序章  はじまりの街にて
5.葛藤の末に
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の少女が言い難そうに口を開く。

「あ、あのときっ……あなたに、じ、自分に出来ることを考えて……それを行うことが、今のあたしたちがするべき事だろうって言われて……」

 少女の瞳が、俺の目を真っ直ぐに捉える。

「だから、考えたんですっ! あたしに出来ることってなんだろうって……でもあたし、このSAOで出来ることって戦うことしか思いつかなくて……だ、だったら戦いを頑張ろうと思って……その……うぅ」

 舌足らずに言いながら、その瞳に雫を溜めていく少女。

 ――そうか。この少女は《戦うこと》を自分がするべきことと考えついたと、そういうことなのか。

 しかしそれは――どうなのだろうか。
 考えが足りない、自分に出来ることと出来ないことが解っていない、そう断ずるのは簡単だ。
 だが、それでもこの少女は自分で《考えた》のだろう。そこは、ちゃんと評価したいと思う。

 ――それに……どうやら俺の言葉も、この少女が戦うことを決めた要因の一端を担っているらしいしな。

 しかし――。

「……なるほど、それは解った。……だが、こんな時間に街を出た理由にはなっていないな」
「…………あ、ぅ」

 俺がそう言うと、今度こそ金髪の少女は下を向いて黙ってしまった。
 俺の言い方がきつかったというのもあるだろうが、これは――何も考えずに出てきた、というふうに見える。
 それを見た茶髪の少女が、慌てた様子で言ってきた。

「こ、これは〜その〜、違うッス! あ、いや、違わないッス! ……あ、あれ? で、でも違うんス!」

 多分、責められてる金髪の少女の助け舟を出そうとしたようだが、何を言うか考えていなかったんだろう。本人が混乱していて意味が不明だ。
 そして、ようやく立てるようになった銀髪の少女も、こちらへ――俺から金髪の少女を庇うような位置へ来た。

「す、すみませんっ。……その、私たち……」

 金髪の少女を、二人の少女が庇おうとしている。
 先ほどは、イノシシから金髪の少女が二人を庇おうとしているように見えた。

 ――友達……か。

「…………ふぅ」

 自分が吐いた溜息が、何のことに対しての溜息だったのかは、よく解らない。
 しかし冷静になると、俺には彼女達を責める資格なんて無いのではないかとも思う。
 彼女らは彼女らの考えで行動した。それだけだ。
 問題があるとするなら――それは俺のほうだ。
 俺は初め、彼女らを助けることを拒否した。しかし、結局は助けてしまった。
 助けたこと自体は後悔はしていない。それははっきりしている。
 俺はこれからどうするか。どう、したいのか。

 ――いや、一人で考えることもない……な。

「…………とりあえず」
「は、ひゃいっ!」

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