SAO編
序章 はじまりの街にて
5.葛藤の末に
[2/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
他にも色々あるんだろうとは思ったけど、このSAOの中であたしが知っていることは少ない。そもそも自分自身が剣でモンスターと戦うためにSAOをやろうと思ったのだから、どうせならそのままやってやろうと思った。
そして、結論が出たら止まらなくなるあたしは、浮かない顔をしてる二人を強引に説得して、すでに辺りが暗くなっている時間だというのに街の外へと飛び出した。
これはあたしの悪い癖だ。思いついたら止まらない。あたしはこのとき、モンスターを格好良く倒す自分を想像してやまなかった。
だけど実際にモンスターに遭遇したら、そんな考えはどこかにいってしまった。
独特の粘液質に光る目、よだれが滴り荒い呼吸をする口、生理的に受け付けないその泣き声。
モンスターって言うからそんなに意識はしてなかったけど、日本語で言えば《怪物》だ。
そう、まさに怪物。勢いよく突進してくるその姿は、単調な動きなのだけど、何故か威圧感で動けなくなる。
目の前のモンスターはイノシシに似ている。だけど本物のイノシシなんてあたしは見たことはない。きっとレイアもチマもそうだと思う。
デフォルメされたものしか見たことのないイノシシ。だけど目の前のソレは、辺りの暗さも相まって相当に恐怖を駆り立てる姿に見えた。
――いくつものスポーツを経験したあたしが、こんなに動けなくなるなんて……。
頭の中で《死ぬかもしれない》という言葉がいくつも思い浮かんだ。
気の弱いレイアは、その重圧に耐えられなくなったのか、足を縺れさせて転んで、地面に座り込んだまま動けなくなってしまったようだ。
――この状況を作ってしまったのはあたしだ。だから巻き込んでしまった二人は絶対に助けたい!
あたしはレイアの前に立って、イノシシに向かって必死に剣を振った。
「こ、このっ! えいっ! あ、あれ? きゃっ!?」
結果は空振り。逆に剣に重みでバランスを崩してしまう。
「ギャー! こっち来んなッスー!」
あたしの剣を潜り抜けたイノシシは、その勢いのまま旋回してチマの方に向かった。
バンザイしながらイノシシに追いかけられるチマの姿は、こんな状況にも関わらずコミカルで、あたしは少し冷静になることが出来た。
「――っ、えーい!」
チマを追いかけるイノシシを先回りするようにして、あたしは剣を振り下ろした。でもあたしの攻撃はイノシシのお尻をかすめただけだった。
攻撃を受けたイノシシは、びぎっと鳴いて今度はあたしに向かって突撃してきた。
――でもあたしなら、避けられるっ!
そう思ったが、自分の後ろにレイアがいることを思い出す。
あたしはとっさに剣の腹を支えるようにして防御体制をとり、イノシシの突進を正面から受け止めた。
「
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ