鬼と龍の兄弟は W
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「また盗んできたのか?あれ、龍は」
「来てねぇよ。それより、ゼルノ」
小さな隠れ家のような家。そのテーブルの上に宝石をばらまいた鬼龍は、そのまま若い女性を睨む。
今は敵わない、しかし必ず見返してやる――そのような視線だった。
「龍は此処に来させない」
強い視線に当てられても、ゼルノは怯まない。比較的安めの宝石を手にとって「安物を持ってくるな」と嫌らしく笑う。まるで、お前に出来るわけがないと糾弾するように。
「今日はコーヒーに睡眠薬を入れたよ。・・・お前と龍を会わせたらいけないから」
「はて、私は君らに何かしたのか?」
心底不思議そうに首を傾げるゼルノ。すうっと目を細めた鬼炎はテーブルを叩く。勢い良く、テーブルを壊すことが目的であるかのように。
しかしゼルノは怯むことなく言い放つ。
「龍は私の――」
「分かってる」
ゼルノの言葉を遮って、鬼炎は言う。
「そんなこと、分かってるよ」
悲しそうに、哀しそうに。
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