暁 〜小説投稿サイト〜
鬼と龍の兄弟は
鬼と龍の兄弟は W

[8]前話 前書き [1]後書き [2]次話
「また盗んできたのか?あれ、龍は」
「来てねぇよ。それより、ゼルノ」

小さな隠れ家のような家。そのテーブルの上に宝石をばらまいた鬼龍は、そのまま若い女性を睨む。
今は敵わない、しかし必ず見返してやる――そのような視線だった。

「龍は此処に来させない」

強い視線に当てられても、ゼルノは怯まない。比較的安めの宝石を手にとって「安物を持ってくるな」と嫌らしく笑う。まるで、お前に出来るわけがないと糾弾するように。

「今日はコーヒーに睡眠薬を入れたよ。・・・お前と龍を会わせたらいけないから」

「はて、私は君らに何かしたのか?」

心底不思議そうに首を傾げるゼルノ。すうっと目を細めた鬼炎はテーブルを叩く。勢い良く、テーブルを壊すことが目的であるかのように。
しかしゼルノは怯むことなく言い放つ。

「龍は私の――」



「分かってる」



ゼルノの言葉を遮って、鬼炎は言う。
「そんなこと、分かってるよ」

悲しそうに、哀しそうに。
[8]前話 前書き [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ