第十四章
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の言葉だけは別だった。
「私よりもこのチームのことはご存知ですから何かと教えて頂けたらと思っています」
彼はインタビューに来た西本に対しこう言っている。
「おい、あのノムさんがか!?」
それを聞いた者は皆驚いた。野村がそのようなことを言うとは。
だがそれは野村の偽らざる本心であった。野村はその毒舌から色々と言う人が多い。だが本当は苦労を重ねてきたせいか繊細で心優しい男なのである。尾羽根打ち枯らした者を見棄てることなど出来ない男なのだ。
野村再生工場という。彼はそこで多くの選手を甦らせている。他の球団から戦力外通告を受けた多くの選手達をである。
彼を知る者は言う。野村は本当はとても優しいのだと。新庄もそう言った。
そうした野村が認めているのが西本である。彼は西本の下で野球がしたかったのだろうか。
「その為には驕ることなくいきたいな。西本さんがそうだったように」
彼は最後にそう言った。だが現実は難しい。結局横浜の連覇はならなかった。それが野球なのである。優勝して当然と考えるのは思い上がりに他ならない。
こうして九八年の史上初の投手出身監督同士による対決は終わった。互いに正面からぶつかり合い力を競ったこの戦いは横浜の勝利に終わった。だが西武ナインにも東尾にも心に残る素晴らしい勝負となった。二つの戦場は今もその記憶を残している。
マウンドの将 完
2004・6.4
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