第三話
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し、本人もそれが分かっているはずがなのだが。
(……それを知りつつ、俺に丸投げしやがって……)
目一杯憎しみを込めて楽しげに談笑するシドを睨みつける。アスナの表情がますます怪訝なものへと変わっていくが、それはこの際無視。視線にダメージ判定があるのであればHPの半分くらいは減らしてやれそうな勢いで視線を飛ばすが、もちろんそんな都合のいいシステムなど存在しない。
「……んー、あの二人、やっぱり仲いいのかな……私どうにもシドさん苦手なんだけど……キリト君は同じソロ活動の多いヒト同士割と仲いいよね」
「今まではな」
「え?」
「い、いや、なんでもない。……まあ斜に構えたヤツだし、向こうもなんとなくアスナには苦手意識あるみたいだよな。割とテキトーな奴だし、合う合わないはあるんじゃないか?」
「適当……そう、適当よね、あの人。もうちょっと真剣になれば攻略だってもっとはかどるようになりそうなものなのに……」
「ああ、今度シメてやっといてくれ」
俺の恨みの分までな。
他愛のない会話の間にアルゴとシドはなにやらやけに楽しげに談笑している。唐突な呼び出しでひと気の少ない脇道での情報屋同士の密会、という一見シリアスな雰囲気が漂いそうなシチュエーションだが、当人たちはそんな様子は見えない。まあ、見えない、というだけで。
「……さすがにこの距離だと、なに言ってるかは聞こえないわね。キリト君はどう? 《聞き耳》とか上げたりしてないの?」
「まさか。俺もさっぱり聞こえないな……さすがにそこまでスキルスロットの余裕はないよ」
「君ならなんでも上げてそうな気がするけど、まあしょうがないわね」
大通りで壁にもたれかかってその様子を遠くから窺う俺達には、その会話までは聞き取れない。もしかしたら談笑しながらドシリアスな会話をしているのかもしれない(極めて好意的にとらえるなら、だが)。
なんとか少しでも聞き取ろうと、耳を澄まし、
「……? メッセージ?」
た、俺に聞こえたのは、メッセージを受信したことを伝えるシステム音だった。アスナのほうを見れば彼女もそれだけで察してくれたようで、コクリと一つ頷いてアルゴのほうに意識を集中する。それを確認してメッセージを開いて、
「……? …………???」
俺の頭には無数のクエスチョンマークが浮かんだ。
まず送信者名。……シド。は?
次に件名。……シャッターチャンス! はぁ?
最後に本文。……『映像結晶』。全力ズームで構えろ。早く! ……はあぁ?
訳が分からない。とにかく反射的に指示通りにアイテムを取り出して、
「っ、うおっ!!?」
二人を見やった瞬間に、俺は思わず目を見開いた。
会話が終わったら
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