九幕 湖畔のコントラスト
1幕
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かぶ逸品だよ」
「いふりーともん?」
「炎の大精霊イフリートが熾した火の窯で焼いた陶器の模様をそう言うんだよ。これは、ホンモノね」
少し前のフェイならば、逸品どころか、頑として触れもしなかった類の品だ。それをこうして淡々と解説する自分に、フェイは新鮮ささえ感じた。
「思い出しますね。初めてお会いした時のことを」
「へえ。二人が会ったの、カラハ・シャールだったんだ」
「ええ。私がミラさんやジュードさんとお会いしたのはちょうどこの市場だったのですよ」
「アルヴィンとエリーゼも一緒でね。エリーゼとドロッセルさんが意気投合して――」
ふとフェイは、店主の目がフェイたちより後ろ、ローエンに向いているのに気づいて両者を見比べた。
「指揮者イルベルト――?」
「はい。シャール家で執事をしていたローエンです。お久しぶりです」
至ってなごやかな挨拶――ではすまなかった。
「この野郎! どうやって化けたか知らないが、指揮者イルベルトは8年も前に死んだ! いや、殺されたんだ!」
フェイは驚いてエルと顔を見合わせ、同時にローエンをふり返る。ローエン自身も自身の身に覚えのない訃報に目を白黒させていた。
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