第四十八話 新たな目的
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とバルフレアは言った。
「帝都アルケイディス、ドラクロア研究所。帝国軍の兵器開発を一手に仕切ってる」
仮説に過ぎない筈だが、バルフレアは破魔石がそこにあると確信しているように言った。
(そういえば・・・)
アルシドは6年前にアルケイディア帝国の名門の家の子どもが一人、家出したという情報を手に入れた。
かなりアルケイディア帝国上層部に関わりがある家だったのでなんとか捕らえて情報を手に入れることができないかと考えたことがある。
だが追跡を振り切られ続けた為、断念したが・・・
もしバルフレアが家出した人物だとすればありえない話ではない。
「オレが案内する」
「行きます。そちらの国での工作は、あなたが」
「こっちはこっちでどうにかしろと? ご期待に添えればいいんですがね」
カナートに支えられてアルシドが立ち上がった。
「そういや、お前どうやってロザリアへ帰る気だ?」
セアはアルシドに問いかける。
「南は聖ヲルバ騎士団国とアルケイディア帝国の植民地。西はヤクトだぞ」
「とりあえず西のヤクト・ディフォールに入って南西に向かえばロザリア帝国の属庭アレイアにつきます。アレイアの領主は皇帝派なので安全に本国に帰れます」
「アレイアって確かケルオン大陸の西の海岸に接する地域だろ?その体で大陸横断なんてできるのか?」
「大丈夫です。まだ優秀な私の部下がいますから」
「・・・一応優秀な部下を直属にしたってのは嘘じゃなかったみたいだな」
「ええ」
「念のために聞いておくが優秀な女・の部下だけを直属にしたんじゃないよな?」
「・・・・さ、さぁ?・・・・・・・・なんのことでしょうか?」
アルシドの挙動不審さにセアは仮説が事実だと確信した。
アルシドもここ居づらくなり、カナートに支えてもらいながら外へ出ようと歩き出した。
そして途中でなにかを思い出したように振り返った。
「ああそうだ。ラーサーから伝言です。
『国と国が手を取り合えなくても人は同じ夢をみることができる』」
アルシドはそう言うとカナートの胸元からサングラスを取り出しかけた。
「――では失敬」
アルシドはそう言うと光明の間から出て行った。
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