第四十七話 冷たき者
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ベルガがバルフレアとヴァンに斬りかかろうとしたその時だった。
背後から形容しがたいおぞましい気配を感じたのは。
ベルガは首を回して後ろを確認する。
そして・・・
「・・・ッ!」
予想外の光景に思わず振り返る。
先程胴体を真っ二つにして斬殺した筈の銀髪の男が無傷で立っていたからだ。
それだけでも信じられないというのに何やらミストを纏っている。
この男も人造破魔石を埋め込んでいるのかとベルガは考えるが自分で否定する。
人造破魔石はドクター・シドが6年の歳月をかけて完成させた代物だ。
どこの誰とも知れないような人物が持っているはずがない。
ならばダルマスカやナブラディアの王家の証のような神の造りし破魔石だろうか?
いや、それもありえないはずだ。
シドはあれは人造破魔石より力はあるが碌に制御できない出来損ないだと言っていたではないか。
勿論シドが間違っている可能性がないわけではない。
だが2年前の戦争でのナブディスの惨劇を引き起こせるほどの力が生身の人間に制御できるとはベルガはとても思えないのだ。
となると自分が知らないなんらかの力なのだろう。
それならば幾ら考えても絶対に答えはでない。
ベルガはそう考え、警戒しながらあたりを見回す。
現在ヴァン達とまだ戦えているジャッジが約20名、まだ神殿内にいるのが約20名。
第12艦隊が神都を離れる時にベルガと神都ともに第2局のジャッジが約80名だから実に約半分のジャッジを失っている。
(あの女どもめ・・・)
実は言うとアルケイディアの中でも精鋭であるジャッジは総兵団を圧倒していた。
計算外だったのがアルシドが連れてきた美女軍団である。
ジャッジ相手に互角以上の戦いを繰り広げた。
そのせいでかなりの損失を第2局は蒙っていたのである。
(ロザリアの脅威がある今はこれ以上の損失は避けたい。となると・・・)
ベルガは剣を構え、力を欲する。
すると人造破魔石から先程以上にミストが溢れ出した
(とっと蹴散らすのみだ)
ベルガは人とは思えぬ速さでセアとの距離を詰め、右肩に斬りかかる。
セアは避ける素振りもみせず、ベルガの剣が肩口から胸の辺りまで深く入った。
それに顔色ひとつ変えないセアを見てベルガは本能的に深く入った剣を離して飛びのく。
直後、セアがミストを纏わせた剣を振りぬく。
間一髪ベルガはセアの斬撃を紙一重でかわしたが体勢を崩した。
その隙を逃さず、セアはベルガに向かって突きを繰り出す。
ベルガはそれを転がりながら避け、セアの胸に突き刺さったままの剣の取っ手を掴み、その勢いのままセアを切り裂く。
セアがミストで回復している間にベルガは体勢を整えて再び斬りかかる。
そしてそれをセアが向かえうち、再び激しい斬りあいを始めた。
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