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不老不死の暴君
第四十六話 記憶
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やがてその者以外に動くものはなくなり、王都は赤色に塗りつぶされ、切り裂かれ原形を留めていない屍がそこら中に転がっていた。
王都を朱に染めたその者は涙を流しながら返り血に染まった赤黒い剣を自分の腹に何度も刺しながら狂ったように嗤い続けている。
そして唐突に分かった――否、思い出した。























あれは俺だ。






















「・・・・っ!」

まず目に入ったのが血だまり。
俺はベルガに斬られたんだったな。
それにしても俺は気絶して夢を見ていたのか?
最後に気絶したのは確か二百年以上前だ。
いや、そんなことは後でいい。
まずさっきから戦っている仲間を助けに行かなくては。
夢のせいで最悪の気分だ。
鬱憤晴らしだ。思いっきり派手に暴れよう。
俺の体からミストが溢れ出した。



ジャッジが吹っ飛んでいく。
バルフレアが銃の先端部分を持って、思いっきり殴りつけたのだ。
そういう使い方をすると銃は鈍器として結構優秀だったりする。
最もあまりやりすぎると銃が変形して弾を撃てなくなる可能性もあるが、命に比べたら安いものだとバルフレアは割り切っていた。
それにそれなりに銃火器について知識を持っているので簡単な修理は自分でできるからでもある。
イヴァリースでは銃の生産法が確立しておらず、大金持ちが道楽で開発する以外は遠方の国からの交易品くらいでしか手に入らない。

「ちっ、次から次へと面倒だな」
「自分から首を突っ込んだんでしょ?」
「ああ、そうだな」

バルフレアはそう言うと目の前のジャッジを睨みつけた。
するとそのジャッジの首に刃が生えた。
正確にはヴァンが後ろから突き刺したのだが。

「お前意外とえげつねぇな」
「そうか?」

ヴァンは不思議そうな顔をしてバルフレアの方を見る。
バルフレアはその様子をみてため息をついた。
まだ10代の子どもがここまで割り切ってしまっていのかと思ったからだ。
しかしヴァンからしたら意味不明なことこの上ない。
何故ならヴァンに実戦で鍛え上げたのはセアなのである。
セアの敵に対する容赦ない攻撃に比べれば自分の攻撃は甘すぎるとヴァンは思っているのだ。
はっきり言って比べる対象が悪すぎるのだがヴァンは全く気づいていない。
実はそのせいでパンネロから若干引かれてた次期があったのだが、パンネロも数ヶ月も似たような光景を見ていたらなれてしまった。
案外、家畜を殺すのになれるのと似たようなことなのかもしれない。

「そういや、セアは・・・」

そう言ってヴァンは入り口の方を見た。
そこには血で鎧が赤くなっ
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