第四十三話 覇王の剣
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ミリアム遺跡の最も奥にある覇者の間。
細長い通路のような部屋で真ん中あたりにに入口に戻る為の転移装置があり、
そして階段を上りきった奥にある壁には幾つもの光る歯車のような物が回りながら【覇王の剣】を守っていた。
アーシェが近づくと持っていた【暁の断片】が光った。
すると通路を照らしていた装飾の光が消える。
そして歯車のような物から音が出ると共に光が消え、停止した。
ひとつ停止するとまるで呼応するかのように歯車のような物が次々に同じように停止していく。
全て停止すると中央に納められていた【覇王の剣】が光を纏って浮かび、ゆっくりと降下してきてアーシェの目の前で止まる。
アーシェが剣の柄を掴むと纏っていた光が消え、浮力を失った剣を支えきれずに床に打ち付けた。
「こいつで本当に破魔石が壊せるか【暁の断片】で試してみれば?」
「えっ?」
ヴァンの提案にアーシェが少し驚き、ヴァンを見る。
「ヴァンにしてはいい案だ。【暁の断片】は役立たずなんだろ」
バルフレアにもそう言われ、アーシェは【暁の断片】を床に置いた。
すると【暁の断片】が光ってミストが僅かに溢れ出てきた。
「石のミストが―――」
「ざわめいてるわ。剣を恐れてる」
そしてアーシェはまた目の前に最愛の夫ラスラの幻影が写った。
ラスラの幻は目を瞑りゆっくりと首を横に振る。
まるで破魔石を壊してはいけないというように。
アーシェは剣を振りかぶると戸惑いの表情を浮かべ、目を瞑り剣を振り下ろした。
剣は【暁の断片】の真横のなにもないところにあたった。
その様子を見てラスラの幻影は頷き、微笑みながら消えていった。
そしてラスラの幻影が消えるとすぐに【暁の断片】は光を失った。
「―――ミストが消えた」
フランがそう呟くとアーシェは言った。
「この剣なら、破魔石に勝てるわ」
「当たればな」
「・・・まったくだ」
バルフレアとセアは呆れたように言う。
アーシェが破魔石を壊す気がなかったことに2人とも気づいていたからだ。
それにセアはまた見えていた・・・・・・・からでもある。
バルフレアは転移装置の方に歩き出すとセアもその後に続く。
「ねぇ」
ヴァンもバルフレアの後を追おうとしたが呼び止められ、振り返った。
「また、あの人が見えた?」
「オレには―――
見えなかった。
兄さんの姿も―――
―――もう、何も」
ヴァンの言葉にアーシェは少し戸惑いの表情を浮かべた。
すると・・・
「おい馬鹿弟子!サッサと王女様を連れて来い!!」
セアの叫びを聞き、ヴァンはアーシェの手を掴んでセアの方に走って入った。
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