第三十八話 もうひとつの遺産
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さい。レイスウォールが当時の大僧正に委ねた力が眠っておる。破魔石を断つ【覇王の剣】」
その言葉を聞き、ミリアム遺跡に行こうとアーシェは出口の方に向いた。
その様子を見てアナスタシス僅かに神の意思に背きながらアーシェに語りかける。
「おのが覇業を支えた破魔石を砕く力を―――なぜ子孫ではなく他者に託したのか。剣を手にして悟らなければ王国再興の夢は、夢のままよ」
その言葉を聞いてアーシェはレイスウォールが他所に【覇王の剣】を託した事に疑問に思いながらも今は力が必要と言う事で考えないことにした。
そうして神殿の外に出ようとしたときに呆然としているラーサーが目に入った。
アーシェもラスラや父が亡くなったと聞いて同じような状態になったことがあるので同情する。
だが、こういうものは落ち着くまで時間が必要だと思いながら外へ出た。
セアも先程の【覇王の剣】を他者に託した理由について考えていた。
彼は早くも自分なりの結論を出していたがそれを認められずに不機嫌そうな顔をしながら外に出た。
『(私の夢も、やがて醒めるか―――)』
アナスタシスは瞑想を再開して一言呟いた。
神殿の外でセアはアルシドと久しぶりに話し合いをしていた。
「そういえばクライスさん。アダスの奴が会いたがってましたよ」
「そうか。でもロザリア帝国に入るのは・・・」
「なぜ?」
「・・・俺って諜報部を抜けたとき周りからなんて言われた?」
「辞職したって聞きましたが?」
アルシドが質問の意味が分からず首を傾げる。
「いや、本当は辞職願を上司に提出したんだが拒否されてな。だから夜逃げして国境を越えたんだよ」
「え・・・?」
「だからさ、その〜、ロザリア帝国に入ったとたんに首をはねられる危険性があるからあと十数年くらいしたら行くって言っといて」
「わかりました」
実はセアが話したことは半分嘘で上司に辞職を拒否され、「どうしても辞職したいなら皇帝陛下に提出しろ」と言われて上司の言葉通りにその時のロザリア帝国皇帝の部屋に侵入し、辞職願を出した。
結果は不敬罪の罪を着せられて処刑されかけた・・・というかされたのがロザリアに行きたくない理由である。
既にロザリア帝国の記録上は故人であるから別に行ってもいいような気はするが念のためもう少し時間をおきたい。
「ところで話は変わるが・・・」
「・・・なんですか?」
アルシドは何か嫌な予感を感じて身構える。
「お前の部下はどうなっているんだ?」
「・・・というと?」
「だからなんでお前の部下は美女ばかりなんだ?」
セアが横目で下にいるアルシドの部下達を見る。
色気たっぷりのカナートを筆頭に美女ぞろいのアルシド直属の部下が14名。
「た、たまたま能力で選ん
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