第三十七話 夢見の賢者
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ときは酷い事をしてくるのをアルシドは経験上知っている。
「ええっと、セアさんはアルシドさんと知り合いなんですか?」
「ああ、20年位前にちょっとロザリア帝国で働いてたときがあってね。その時に知り合ったんだよ」
ラーサーの質問に答えた後、セアは無表情になってアルシドを睨みつけた。
「さーて覚悟は出来てるかな? アルシド君」
アルシドは既に今日の晩飯はなにかな〜?と現実逃避を試みていた。
だがその試みは空しくセアの鉄拳によって実行不可能となった。
アルシドがセアによって半殺し(途中で美女が妨害してきたがセアによって気絶させられた)されて10分後。
セアの魔法でアルシドが回復したのを見計らってアナスタシスが会話を再開する。
『(アルケイディアにはラーサー。ロザリアにはアルシド。彼らは戦の夢を見ておらぬ。両帝国が手を取り合えば新しいイヴァリースがひらかれよう)』
「それこそ夢物語ですな。現実には戦争が起こりかけてる」
「私を招いたのも、大戦を防ぐためと聞いておりましたが、私が王位を継いでダルマスカの復活を宣言し、帝国との友好を訴え解放軍を思いとどまらせる―――と。なのに今になって、あきらめろとは?」
アーシェの疑問にアルシドは頷いて説明を始める。
「姫のお言葉があれば解放軍は動けず、我がロザリアも宣戦布告の大義名分を失う―――そういう狙いでしたがね。流れが変わっちまいまして。2年前、お亡くなりあそばされたはずのあなたが、実は生きていたなんて話が出るとかえって事態が悪化する状況でしてね」
「私に力がないからですか」
「いやいや、あなたのせいじゃありませんよ」
「ではなぜ!?」
アルシドのアーシェに対する返答にラーサーが疑問を呈する。
「アーシェさんから友好の呼びかけがあれば―――僕が皇帝陛下を説得します。陛下が平和的解決を決断すれば―――」
「グラミス皇帝は亡くなった。暗殺されたんだ」
一瞬ラーサーはアルシドの言葉が理解できず呆然とする。
そして理解してしまうと弱々しい声で一言だけ呟いた。
「父上が!?」
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