暁 〜小説投稿サイト〜
不老不死の暴君
第三十七話 夢見の賢者
[1/3]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
神都ブルオミシェイスの神殿はキルティア教会の記録によると今から1800年程前に造られたらしい。
本当に1800年前からあったのかどうか知らないが少なくとも約700年前にセアがこの地に来た時には既にあった。
ブルオミシェイス自体が神殿と言っても過言ではない荘厳な建造物であり、キルティア教会の要職についている者達の住居と礼拝堂で出来ている。
そしてその神殿をぐるりと囲むように避難民達のテントで溢れている。
そんな神殿の入口に入ったセア達はキルティア教徒たちに歓迎された。
なぜこの時に来ることが分かったのかと聞いたところ大僧正が貴方達が来られるのを悟ったかららしい。
そう言ってキルティア教徒達はセア達を光明の間に案内した。
光明の間の奥でキルティア教会のトップ大僧正アナスタシスが瞑想をしていた。
大僧正アナスタシスは色々と逸話の多い人物だ。
まず彼はヘルガス族という長命な少数種族で現在184歳。
因みにヒュム換算すると120〜130歳だという。
不老で700歳越えしているセア程では無いにしろかなり異常だ。
さらに僧兵団に所属していた頃にたった一人でパラミナ大峡谷でファーヴニルという邪竜を単騎で討ち取ったと言う。
しかもその竜は円月輪が外れていた邪竜というのだ。
キルティア教の神話では天地創造の際に神が地上に12人(一説には13人)を地上に遣わしたという。
だがその地上には使者達が来るより前に邪竜達が地上を支配し使者達と戦った。
邪竜の力は強く、ある竜は竜巻であらゆる物を吹き飛ばし、ある竜は業火で森を焼き尽くし、
ある竜は地を割り生命を奈落に突き落とし、ある竜は水を操り地上を水で覆った。
その邪竜達の所業をみかねた光の神・善神ファーラムは邪竜達と戦い円月輪を嵌め、その凶暴な力を封じた。
竜に輪を嵌める話は他の宗教の神話やガリフ族の口伝にも似たような話があるので円月輪が邪竜の力を封じてるのは真実だとされている。
そんな邪竜をたった一人で倒せるというのだからアナスタシスの全盛期の力は凄まじいものなのだったのだろう。
更に胡散臭い話だがアナスタシスは神の声を聞いたことがあるというのだ。
そんな逸話の多いアナスタシスの瞑想している姿は神秘的な雰囲気を纏っている。

「寝てないか?」

しかし空気の読めないヴァン君は小声でそう言ってしまった。
全員がヴァンを注意しようとすると

『(なに、眠っておるようなものよ)』

直接脳内に響くように声が聞こえた。
アナスタシスは相変わらず瞑想したままで口も動いていない。
しかしその声が目の前の者からのものだと何故かわかった。
これがアナスタシスが【夢見の賢者】と呼ばれる所以である。

『(夢をみておる。夢幻(ゆめまぼろし)現世(うつしよ)は表裏の一重を成す
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ