第十一章
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情的で感情が顔にすぐ出る男だ。思っていることはすぐにわかる。
「だろう、西口がいたからここまで来れたんだ」
「はあ」
「よくても悪くてもエースと心中なら皆納得してくれるだろう。それにこうした大一番はエースでなければ勤まらん」
「それはそうですが」
「この試合に勝てばうちはグッと楽になる。大丈夫だ、ここはあいつを信じてくれ」
「わかりました」
こうして記者達はその場を去った。東尾はそれを黙って見送っていたがベンチで一人になると腕を組んで考え込んだ。
(ここまで来たらもう賭けるしかない)
彼はナイン、そして西口を見ていた。
(頼むぞ)
そう言うとベンチをあとにした。そして一人横浜の予想できる攻撃をシュミレーションしていた。
双方共投手の心理でなければ考えられない采配であった。野村と森はそれを聞いて思わず呆気にとられた。
「あいつ等は何を考えとるんじゃ」
「ああした場面ですることではない」
すぐにバッサリと切り捨てた。やはり彼等にとってそれは受け入れられるものではなかった。
「どちらが勝とうがアホなことをしとるわ」
「野球というものが本当にわかっているか疑問だ」
彼等の言葉は辛辣そのものであった。そこにはあからさまな拒絶反応があった。
しかし当の二人はそれを全く意に介していなかった。ただ次の試合に向けて策を練るだけであった。
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