第三十四話 姉妹
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「森に帝国兵が現れた時も里の仲間は無関心でした。森が荒らされない限り、ヴィエラは外からの何もかもを無視するんです」
そこで一旦言葉を切り、少し不安そうな声で続ける。
「でも私は不安で・・・帝国の狙いを突き止めたくて」
「それでここまで調べに来たらとっつかまったと」
バルフレアの言葉にミュリンは軽く頷いた。
「無鉄砲は姉譲りかねえ」
バルフレアは少しからかうようにそう言った。
だがミュリンはそれを気にも留めず少し恐がっている声で言う。
「あの人たち、私に【石】を近づけたんです。人体がミストを取り込むとかヴィエラが最適だとか言って、その【石】の光を見たら、私―――」
「リヴァイアサンね」
ミュリンは声を途中で止め、フランの方を見るとフランが後に続いた。
「あの時【暁の断片】が私を狂わしたようにこの子の心を奪ったのは―――」
「―――人造破魔石」
ラーサーの答えにフランは頷いた。
「パンネロさん。僕が差し上げた石、まだ持ってますか?」
「はい、もちろん」
パンネロがポケットから人造破魔石を取り出すとラーサーは人造破魔石を取り上げた。
手に持った人造破魔石を見つめてみると妖しく、不気味に青く輝いているようにラーサーには見えた。
「僕の想像以上に危険なものでした。あなたに渡すべきではなかった。すみません。こんなものを!」
「私にとってはお守りだったんです。リヴァイアサンでもみんなを守ってくれて」
パンネロを言葉を聞いてラーサーの罪悪感が少し減った。
その会話を聞いていてアーシェが自分に言い聞かせるような声で言う。
「危険な力だろうと、支えにはなるのよ」
「―――かも知れないけどさ」
ヴァンが少し心配そうな声でそう呟いた。
「まぁ、ヴァンの言うことも一理あるな」
セアが少し大きな声で言った。
「どういう意味ですか?」
「言葉通りの意味だ。あまり危険な力に頼りすぎると大切なものを見失いかねん。案外パンネロみたいに軽い気持ちで持っているのが正解なのかもな」
「・・・」
セアの言葉を最後に軽い沈黙が訪れた。
だが、セアに対し抱いていた疑問を抑えきれずミュリンは話しかけてしまった。
「あの・・・?」
「ん?どうしました?」
「あなたの周りのミストがおかしいのですが何故ですか?」
「・・・そう、だな。昔にミストが視認できるほど濃い場所に行ったことがあってね。そのときミストの嵐に巻き込まれたことがあるからそれのせいかな?」
「なんでそれが原因だと思うんだ?」
セアの言葉を聞いてバルフレアが問いかける。
確かにそんなことを聞かれてすぐに答えれるような答えではない。
バルフレアの目を見ると疑っていることがはっきりとわかった。
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