第三十四話 姉妹
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しかしセアが答えた先程の答えは半分以上嘘なのだ。
さてどうしたものかとセアは軽く頭を掻く。
ばれにくい嘘というのは真実を幾らか含むことだ。
「ああ、あれ以来どういうわけか不老になったみたいでな。もう二、三百年前のことだからな」
「「「「「「「なッ!」」」」」」」
先程セアが言った言葉のうち本当のことを言っているのは
【昔に】【ミストの嵐に巻き込まれた】【あれ以来どういうわけか不老になったみたい】の三つだけである。
が、セアはそのことをおくびにも出さず呟いた。
「まぁ、そりゃあ、驚くよな」
その後暫くセアは周りの質問攻めを食らったことは言うまでも無い。
ケルオン大陸ヤクト・ディフォールのエルトの里にて。
里の入り口にセア達を出迎えるように3人のヴィエラがいた。
ヴァン達によると真ん中のヴィエラが里の長ヨーテらしい。
するとヨーテが話しかけてきた。
「森のささやきを聞いた。持っていけ」
するとそのヨーテの左にいたヴィエラが首かざりをヴァンに渡した。
「【レンテの涙】がお前を赦す。森を越えてどこへなりとも行くがいい」
ヴァンはレンテの涙を受け取ると里の出口の方へ下がった。
するとミュリンがヨーテに話しかけた。
「それだけなの。森を出て知ったわ。世界は動いている。なのにヴィエラは、何もしないというの」
「人間の世にかかわるのは―――ヴィエラの性ではない」
「嫌なのよ! イヴァリースが動こうとしているのに、ヴィエラだけが森にこもっているなんて!私だって森を出て、自由に生きたいのよ」
「やめておきなさい」
ミュリンの後方から声が聞こえてきた。
その声の主はフランだった。
「あなたは人間に関わらないで。森にとどまり、森とともに生きなさい。それがヴィエラよ」
「でも、姉さんだって―――」
「もうヴィエラではなくなったわ。森も里も家族も捨て―――自由を手に入れた代わりに過去から切り離されてしまったの。今の私には森の声も聞こえない」
フランは思わず離してしまっていた目線をミュリンに戻し問いかける。
「ミュリン。あなたもそうなりたい?」
「姉さん―――」
「いいえ。あなたの姉はもう、ひとりだけ。私のことは忘れなさい」
ミュリンはなにかフランに言いたそうだったが、何も言わず里の奥へと走っていった。
するとヨーテがフランに話しかける。
「嫌な役をさせたな」
「あの子は掟に反発している。掟を支えて里を導くあなたより―――掟を捨てた私が止めたほうがいいわ」
ヨーテは軽く隣にいるヴィエラたちに目線を送った。
それだけでヴィエラたちは察して里の方へと歩いていった。
「頼みがあるの。私の代わりに声を
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