第三十一話 愚問
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。私が行かなくてもミュリンならわかってくれるから」
ヴァンは軽く頷いた。
するとセアが森の入り口辺りで座って言った。
「じゃあ俺もフランと一緒にここで待ってるからさ」
「なんでだ?」
「いや、なんというか苦手なんだ。森の掟を守って暮らすヴィナ・ヴィエラは」
森で暮らすヴィエラをヴィナ・ヴィエラ。俗世に関わって生きるヴィエラをラヴァ・ヴィエラということがある。
主に精霊の声が聞こえるかどうかの差といってよい。
身体的な差としてはヴィナは耳が真っ白だがラヴァは黒いものが混ざってる。
だがバルフレア質問を続ける。
「なんで苦手なんだ?」
「・・・ちょっとトラウマがあるんだよ」
セアの返答を聞き、バルフレアは軽くフランに目線を送り里の中に入っていった。
しばらくするとフランがセアに話しかけた。
「どうして一緒に行かなかったの?」
「バルフレアに答えたの聞いてたよね?」
「あなた周りのミストがおかしいのがばれるから?」
フランの言葉を聞き、セアは顔を顰めた。
「・・・ばれてたのか」
「自覚があったの?」
「ああ、前に他のヴィエラから言われたことが・・・」
そこまで言うとセアは笑みを浮かべ笑った。
そして少し真剣な声でフランに話しかけた。
「里に入ればどうだ?」
「何故?」
「疎遠でも家族はいるんだろ?会ってくればいい」
「でも・・・」
「・・・俺にはもう帰る故郷も迎えてくれる家族もいないんだ」
どこか暗い目でセアは空を見上げながらそう言った。
フランは少し迷っていたがやがて里の中に入っていった。
「はぁ、やれやれ」
そう言ってセアは寝転んで里の風景を眺めていた。
「妙なものだな。かつて覇王に全てを奪われ、今は覇王の子孫に手を貸しているとは・・・これが運命とでもいうやつか」
セアは誰に言うでもなく、そう呟いた。
セアが里の入り口で寝転がっているとヴァンたちが里から出てきた。
バルフレアにセアは話しかけた。
「どうだった?」
「ああ、ヴァンが上手い事里の長から情報を引き出してくれたぜ」
バルフレアの返答を聞きセアは意外そうな顔をした。
弟子のヴァンは交渉事にはとても弱いはずだ。
なのにどうやって情報を引き出したんだ?
「やるじゃないか。あんなのから情報を引き出すとはね」
バルフレアはヴァンを珍しく褒めた。
ただヴァンはなにか納得いかないのか腕を組む。
「さて、人間ヒュムの穴とか言ってたが」
「バンクール地方のヘネ魔石鉱でしょう」
ラーサーが自分の推測を述べる。
「オズモーネ平原の南ですね。あの一帯は我が国の植民地なんです。・・・軍もいるでしょう」
ヴァンが里の長から引き出した
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