第二章
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「ほんまのう」
「最後に優勝したの何時だよ」
「二十年はしてないよな」
「二十年以上じゃ」
もうそれだけなる。
「その間巨人どんだけ優勝しとるんじゃ」
「二十年以上最下位でいいけれどな、巨人は」
「あのチームだけはな」
仲間達も巨人については同意だった。
「千年は最下位でいいな」
「というか勝つなっての」
「巨人が負けると飯が美味いからな」
「酒もな」
巨人には無様な負けがよく似合う、巨人の惨めな姿を見ることは心ある日本国民にとって最高の心のカンフル剤だ。
「まあとにかくカープはそれで」
「御前もかよ」
「あの娘のこと諦めるんだな」
「そうするんだな」
「ああ、そうじゃ」
恋愛についてはだ、彼は辛いが決意した顔で答える。
「わしは新しい恋に生きるんじゃ」
「そうか、辛い決意だな」
「けれど男の決断だな」
「じゃあその決断のままいけよ」
「新しい恋に生きろよ」
「そうするわ」
日本酒をぐい、と一杯飲み干してからだ。彼は言ったのだった。
そうして敦史は今の恋を振り切って新しい恋を探すことにした、それで合コンのことを考えたり学校の中のよさそうな娘を探したりもした、そして。
クラスメイト達にもだ、こう問うたのだった。
「いい娘おらんかのう」
「それでそのよさそうな娘とか」
「仲良くなりたいんだな」
「そうじゃ、誰かおらんか」
こう言うのだった、いささかぼやく感じの顔で。
「おったらのう」
「タイプだったらか」
「告白か」
「当たって砕けろじゃ」
第二次世界大戦でのアメリカ軍日系人部隊が掲げていた言葉だ、敦史は今あえてこの言葉を出したのである。
「だからのう」
「告白か」
「それか」
「ああ、そうじゃ」
まさにだというのだ。
「若しくは告白を受けたいわ」
「それでその相手の娘とか」
「恋愛か」
「そうじゃ、何時までも片思いとかじゃなくてじゃ」
前の時の様にというのだ。
「思い切りやったるわ」
「そうか、それじゃあな」
「俺達も合コンのセットとかするからな」
「だから頑張れよ」
「相手見つけろよ」
「そうするわ」
クラスでもこう言うのだった、例え二度三度と失恋してもそてでもだった。彼は何としても新しい恋を見つけるつもりだった。
それであれこれ探しているとだ、不意に。
朝登校して自分のクラスに入ろうとするとここでだった。
不意にだ、青い制服とスカート、八条学園指定の制服の一つを着た小柄なショートヘアの女の子がこう彼に言って来たのだった。
「ねえ、あんた最近ね」
「誰じゃあんた一体」
「安心して、私はあんたに告白しないから」
その小柄な少女は彼にまずこのことを断ってきた。
「それはないから」
「何じゃ、いきなりか」
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