第四章
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「我が国から貴国に援助を」
「そうして頂けますか」
「プロイセンは今や各国の脅威、ですから」
「友人としてですね」
「共にプロイセンを懲らしめましょう」
スウェーデン側に誘いをかける、そうして。
大使の側近個人にだ、こう言うのだった。
「ところでこのワインですが」
「見事なワインですね」
「トカイです」
それが今彼等が飲んでいるワインだというのだ。
「我が国でも最高のワインの一つです」
「それだけにですね」
「これだけの味です、そして宜しければ」
カウニッツはスウェーデン大使の側近についてもこう言うのだった。
「貴方が望むだけ差し上げます」
「本当ですか!?」
「はい、そうさせて頂きます」
彼個人にも向けるのだった。
「如何でしょうか」
「是非、では」
「はい、我が国と貴国もです」
カウニッツは杯を差し出した、相手もそれを受けて。
乾杯をした、スウェーデンもこうして組み入れた。
だがそれで終わりではない、さらにだった。
帝国内の諸侯達にもだ、こう囁くのだった。
「プロイセンをどう思われますか」
「それは」
「何といいますか」
「若しこのままプロイセンが大きくなればです」
カウニッツは思わせぶりな笑みで囁く。
「次はです」
「我々ですか」
「貴国だけでなく」
「明日は我が身です」
このことは本能的に察する言葉だった、誰もが。
「そうなります」
「確かに。プロイセンの勢いは留まるところがありません」
「先の戦争でさらに強くなりました」
「シュレージェンの次は」
カウニッツは彼等に小声で囁く。
「何処になるでしょうか」
「まさかと思いますが」
「我等ですか」
「我等も狙ってきますか」
「そうしてくると」
「プロイセン王は野心家です」
確かな根拠はない、ただオーストリアから見ればそうでありこのことを公認のこととして帝国の諸侯達に囁いたのだ。
「帝国の頂点に立とうとするかも知れません」
「我等から領土を奪ってですか」
「そのうえで」
「そうです、貴方達をです」
支配するというのだ。
「そうなれば貴方達にとっても厄介では」
「確かに」
「それは避けたいです」
「ではここは」
「プロイセンに対して」
「手を組みませんか」
ここで本題に入るカウニッツだった。
「オーストリアとしても協力を惜しみません」
「では」
一人が乗ろうとした、カウニッツはそれを見逃さなかった。
その彼にだ、微笑んでこう言ったのである。
「プロイセン領の何処が欲しいですか?」
「プロイセン領のですか」
「我が国はシュレージェンさえ取り戻せば充分です」
これは実際にオーストリアが考えていることだ、女帝はあまり欲がなくシュレージェンを取
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