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勇者番長ダイバンチョウ
第12話 恋するスケ番。乙女のハートは超合金!
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ボロの長ランにボンタン、そして同じ位にボロボロな学帽を粋に被った時代遅れの姿をした学生。文字通り番だった。
 その番が、何故かテニスラケットを片手にコートに立っていたのだ。
 当然、真下の生徒達は口々に番の噂をし始める。
 何、あの時代遅れな格好。ダサッ、マジでダサいよ。恥ずかしくないのかなぁ、あんな格好してて。家の生徒かなぁ? 絶対にあんなのとは関わり合いたくないよなぁ。
 とまぁ、かなり酷いひんしゅくを買っていた。しかし、当の本人は全く気にする様子も見せず、そのままコート内へと降りてきた。
「き、君! 部外者が勝手に入ってこられると困るんだよ!」
 今は大事な練習中だ。そんな時に部外者に練習の邪魔をされるのは心底困る。その為に男性が止めに駆け寄ってきた。
 だが、番はその男を片手であしらうとそのままの足取りで茜の元へと歩み寄ってきた。
「ば、番―――」
「何やってんだよ茜? お前らしくねぇぞ」
「わ、私らしくないって何よ?」
「普段のお前だったら、そんなにやけ面して弁当持って行く真似なんてする訳ねぇだろうが!」
 指差して番は豪語した。その言葉に茜の心は野太い釘で打ち貫かれるような痛みを覚えた。思わず胸を抑える茜。そんな茜に対し容赦なく番は続けた。
「お前を心配してスケ番達が回りを嗅ぎまわってくれたんだぞ! それなのにお前は一体何やってんだ!」
「べ、別に良いじゃない! 私が何しようと、私の勝手でしょ?」
「バッキャロウ! それでもてめぇはこの輔番高校のスケ番かよ?」
 更に茜の胸に痛みが走る。胸を抑えながら、茜は顔を俯かせてしまった。相当ダメージが大きかったのだろう。だが、それに対しても番は続けた。
「スケ番だったら、どんな時でもドッシリと構えて下のもんをビシッと従えるもんだろうが! 今のてめぇはそこ等辺に居る普通の女と同じじゃねぇか! そんなんでどうするんだ―――」
「……さいよ」
 ボソリとだが、茜の口から言葉が発せられた。それを聞いた番は黙り込み、耳を傾けたが、その後番の元に飛んできたのは茜が持っていた風呂敷だった。
 中は重箱の弁当だったらしくかなりの衝撃が番の鼻っ柱に響いた。
 ズシンと響く痛みと重み。思い切り茜が持っていた重箱を投げつけてきたのだ。
 その際に風呂敷の紐が緩み、中のおかずが周囲に散らばって行く。
 中は綺麗な形に整えられたおにぎりや手づかみで食べられるおかず類だった。その弁当の山々がコートの上に落ちる。
 一瞬の静寂。
 それがコートを支配していた。その時、番が見たのは重箱でもなければ中身のおかずでもない。投げつけた際に目から涙を流している茜自身であった。
「あんたに私の何が分かるって言うんだい!」
「茜……」
「私だって……私だって本当なら普通の女子高生ってのをやりた
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