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勇者番長ダイバンチョウ
第12話 恋するスケ番。乙女のハートは超合金!
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まれた四角い箱が持たれていた。
 明らかに普段の茜じゃない。
「ななな、何だありゃぁ! あれが本当に茜なのか!? 人違いじゃないのか?」
「いいえ、断じて違います兄貴! あたぃ達が姉御を見間違える筈がありません! あれは絶対に茜の姉御です」
「じゃ、じゃぁ……何で茜の奴あんな格好してんだ?」
「それが分かったら苦労しやせんって」
 番もそうだが回りのスケ番達も相当パニックに陥っていた。普段の茜なら絶対にしない格好をしているのだ。しかも、気のせいか茜の頬が赤く染まっていたのをチラリと目撃してしまった。
 妙に乙女チックな顔をしていた。まるで少女マンガの主人公に出てきそうなキャラそのものだった。
 初めて彼女を見る男子なら思わずキュンとなってしまうだろう。しかし、普段の茜を知っている面々はどう接したら良いのか内心ドギマギしまくりだった。
「どどど、どうする? どうすりゃ良いんだ俺!? ダチのあんな場面目撃しちまってよぉ」
「お願いですよ兄貴! 姉御を元に戻して下せぃ」
 かなりの無茶振りだった。番でさえ、あの格好の茜を見た為に結構てんぱっていると言うのに其処へ来てこの無理難題である。
 だが、番とて男。女の頼みを無碍には出来ない。それこそ番長の肩書きを下ろさなければならなくなる。それだけは出来なかった。
「任せておけ! 俺も男だ。こうなりゃ腕付くで茜を元に戻してやらぁ!」
 番の背中にメラメラと紅い炎が燃え上がっていく。今、番の中で真っ赤な闘志が火を噴いたのであった。
 

 テニスコートの扉を開き、茜は中に入った。ほのかに紅く染まった頬が何とも可愛らしい。顔つきも普段の血気盛んな感じとは裏腹に、何処となく大人しく女性らしい柔らかい物腰になっている。
 そして、練習の邪魔にならないようにコートの端を歩きながら、練習を腕組みで眺めている一人の男子の下へと歩み寄って行った。
「こ、こんにちは」
「ん? あぁ、木戸さん。またいらしてくれたんですね」
 男性は爽やかな好青年だった。短く切り整えられた髪にスラリとした体つき。整えられた眉と輝いている瞳が印象的な好青年だった。
 そんな男性に茜はどうやらいちころだったらしい。両手に持っていた風呂敷を恐る恐る持ち上げて男性の前に見せ付けた。
「えと……お弁当作ってきました。良かったら、食べて下さい」
「え、僕に? 有り難う木戸さん。嬉しいよ」
 そう言ってニッコリと笑う青年。その時の彼の白い前歯がキラリと輝く。その光景を見た茜は、最早立っているだけで精一杯な状態だった。
 そんな茜の気持ちを他所に男性は茜の風呂敷を受け取ろうとした正にその時だった。
「ちょっと待ったぁぁ!」
「うん!?」
 突如、明後日の方向から声がした。見ると、コートの上に誰かが立っている。
 ズタ
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