第12話 恋するスケ番。乙女のハートは超合金!
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の事を恨んでるの?」
「お袋、俺達がこんな苦しい生活を送ってるのも、全てあのろくでなしのせいなんだぜ。何も言わずに勝手に家を出て行って。その上お袋や真に散々苦労を掛けて、挙句の果てに爺ちゃんまで殺しやがって―――」
「それは違うわ、番!」
ちゃぶ台の上に身を乗り上げる形で恵は番を睨んだ。その目線を見ても、番は一向に動じなかった。例え母の叱咤であろうと、この感情だけは捨てられない。番にとって父に対する憎しみだけは忘れようと思っても忘れられないのだ。
「俺は、絶対に親父を許さない。例えお袋がどう思おうとな―――」
「番、貴方は―――」
「此処までにしようぜ。これ以上はお袋の体に障るぜ。後片付けは俺がやっとくから先に寝とけよ」
「うん、そうするね」
寂しそうに頷くと、恵は立ち上がり静かに寝室へと去って行った。それを見送ると、番はちゃぶ台に残っていた食器を片して小さな流し台へと置く。腕をまくり水道の蛇口を開き皿を洗っていく。
ふと、番は駒木が使っていた食器を見る。その食器はかつて父が使っていた食器だった。
「クソ親父が!」
一言そう言った後、番はその食器だけはぞんざいに洗い、そのまま無造作に水切り籠に押し入れた。
***
テニスコートでは若いテニスプレイヤー達が額に汗を流しながらラケットを片手に白熱のラリーを演じていた。もうじき大会が近い為か練習にも気合が入っている。その中には若い男女達がそれぞれ青春の汗を流して練習を行っているのであった。
そのテニスコートの外れにある小さな茂み。其処に隠れるようにしてテニスコートを眺めている数人の人影。
「おい、本当に此処にあいつが来んのか?」
「はい、間違い有りませんよ轟の兄貴。家の妹達の何人かが姉御が此処に来てたのを何度か目撃してましたし」
其処に居たのは番と茜の率いているスケ番グループ達であった。
因みに此処は茜の母校である輔番高校内にあるテニス部のテニスコートである。
何でも、茜の異変を察知していた配下のスケ番達が心配になり辺りを嗅ぎまわっていた所、茜が此処最近このテニスコートに来ているとの情報をキャッチしたのである。
その情報が確かであれば由々しき事態である。まさか、あの茜がテニス部にかちこみを掛けるつもりなのでは?
となれば大惨事になる前に止めなければならない。それこそがダチの勤めだったりする。
「兄貴! 来ましたよ」
咄嗟にであった。見ると、テニスコートにフラフラと近づいていく茜の姿が見られる。しかも、普段の裾の長いスカートの黒いセーラー服じゃなく、最近の女子高生が着ていそうなミニスカートに白のセーラー服と言った清楚な格好に身を包んでいた。
長い髪は束ねて綺麗に整えられている。そして、両手には風呂敷で包
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