第12話 恋するスケ番。乙女のハートは超合金!
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無論、彼が来たお陰で事件は早期解決出来るのだが、他の部署からして見たら相当面白くない。故に彼に対する味方も多いが敵も多かったりする。
が、そんな事彼には何処吹く風と言えた。そんな大らかでいて、真っ直ぐな駒木を番も真も好いていた。
「兄ちゃん、駒木のおっちゃんすげぇんだよ! 今日なんて拳銃持ってた銀行強盗相手に素手でやっつけちまったんだしさぁ!」
「へぇ、流石は駒木のおっちゃんだなぁ」
「へん、脅しにしか使ってないようなヒヨッコ相手に一々ビクビクしてられっかってんだよ!」
番と真の尊敬の眼差しを受けて駒木も鼻高々になっていた。しかし、母恵は余り嬉しそうではなかった。
「余り無茶しないで下さいね。貴方が怪我すると夫が悲しみますから」
「いやぁ、相変わらず恵さんは優しいなぁ。くそぉ、こんな良い嫁が居るってのに心の野郎は何してんだか!」
駒木がふと呟いた名前。心―――
それは紛れも無く番達の父の名であった。
轟心。番と真の父であり恵の夫でもあり、そして駒木の学生時代からの親友でもあった。
だが、その心も番が8歳の頃に突然行方を眩ませてしまったのだ。一切の理由も告げられていない。番にとっては、その時まで幸せだった家庭が音を立てて崩れてた瞬間でもあった。
父が居なくなってからと言うもの、母と祖父は毎日働き詰めの毎日だった。元々裕福な家庭とは程遠かった轟家にとって、大黒柱の不在は大きな痛手でもあった。
それでも、母も祖父も愚痴の一つもこぼさずに一生懸命にその日を生きた。しかし、番にとってその全ての元凶でもある父が許せなかったのだ。
「なぁ兄ちゃん、父ちゃんってどんな人だったんだ?」
「あ? 何でそんな事聞くんだよ」
番は毎回こうだ。父親の話を振られるとてき面不機嫌になる。今まで何度も真が尋ねたのだが、その度に番は応えずに黙り込んでしまった。
過去の写真も全て番が処分してしまった。父親との思い出を全て捨て去る為だ。
「何言ってんだ真。俺達の親父は此処に居る駒木のおっちゃん以外に居ないだろうが?」
「おいおい番。確かに嬉しいが流石に面と向って言われると少し恥ずかしいぞ」
顔では笑っているが目では笑ってない。駒木の目は番に対する哀れみの気持ちで一杯だった。一体どれだけの苦労を重ねればそんな悲しい背中になるんだ、番?
駒木は喉から出かかった質問を強引に飲み込んだ後に、立ち上がる。
「よし、真。久しぶりに一緒に風呂入るか? 今日の事件の事詳しく教えてやるよ」
「やったぁい! 俺入る入るぅ!」
すっかり先の質問の事など忘れてしまい、真は駒木に連れられて風呂場へと向った。残ったのは母恵と番だけだ。
「番―――」
ふと、恵が口を開く。それに対し、番は目元だけを恵の方に向けて聞いていた。
「貴方、まだ心君
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