第12話 恋するスケ番。乙女のハートは超合金!
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良い。
あの性格を除けば茜は自校でもかなりもてる部類に入っている。
そんな茜が赤点を取る事はまず考えられなかった。
だとすると一体……
考えるだけ無駄だった。今の番の脳内ではどう考えたって茜の変化に対する答えを導き出す事は困難を極めていたのだ。
「帰るか……」
幾ら考えても時間の無駄だ。それに、これ以上此処で時間を潰すのは家族に心配を掛ける事になる。それは番には辛い事だった。
時刻を見たが既に夕方の4時頃を差している。今から帰路につけば6時前には帰宅できるだろう。早く帰って家族を安心させねばならない。
天下の喧嘩番長も家族はとても大事なのであった。
***
番が無事に自宅に帰ってきた頃には既に日は落ちて、辺りは暗くなってきていた。時刻は午後の5時50分頃。どうにか真夜中になる前に帰って来れたようだ。
番長を車庫内に収め、入り口を開き中へと入った番であったが、ふと靴脱ぎ場にて靴が増えてるのに気付いた。
母の靴と弟の靴、それに並んで普段は見ない皮製の靴が置かれていた。
それなりに高い靴だったのだろうがところどころ擦り傷などが目立ち、相当年季の入った代物だと言うのが伺えた。
その靴を見て、番はその持ち主が誰なのかすぐに連想できた。
ゲタをその場に脱ぎ、居間へと進む。障子を開き、居間へ入ると、其処にはちゃぶ台を囲んで座っている母恵と弟真、そしてもう一人大人の男性が座っていた。
「おう、やっと帰って来たか」
「駒木のおっちゃん!」
番がそう呼んだ。男性は黄土色のコートを羽織っており、その下には紺色の皺だらけになり古臭く感じられるコートを身につけている。
ボサボサな黒髪には所々白髪が目立ち顔にも幾つか皺がついていた。
しかし彼の目は決して衰えを感じさせない、ギラギラと輝きに満ちておりまだまだ若さを感じさせてくれた。
駒木慎太郎の横に番は腰を下ろした。彼は番の両親と古くからの付き合いであり、番の父が行方不明になってから随分と轟家の世話をしてくれた。番や真にとっては頼り甲斐のある叔父であると同時に本当の父親同然の存在とも言えた。
「久しぶりだなぁおっちゃん。急にどうしたんだよ?」
「請け負ってた山がようやく片付いてな。久々にお前等の顔を見に来たんだよ」
駒木は此処番町でもそれなりに名の通った刑事だ。その名と言うのも半分は良い方でもあり、半分は悪い方にでもある。
彼は少年課に所属しており少年犯罪や青少年の心情問題などを一手に引き受けている腕利きでもあった。
しかし仕事に実直な上にかなり血の気が多いと言う事なので上の面々からの評判は悪い。少年課にあるにも関わらず殺人事件などに首を突っ込む事もあるし、とにかく事件と言う事件には必ず彼が現れるのだ。
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