第12話 恋するスケ番。乙女のハートは超合金!
[12/15]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
んだ茜の手から血が滲み出ている。その様を見た男の顔が青ざめていく。
視線を茜の顔に移す。其処から見えたのは、憤怒の表情に染まった茜の鋭い目線だった。
「そう言う事だったのかい? このあたぃを陥れる為に随分手の込んだ芝居をしたもんだねぇ」
「き、木戸君……こ、これは……ほ、ほんのジョークなんだよ。ジョーク―――」
「今更遅い!」
茜の怒号と共に男性の鳩尾に凄まじい一撃が決まった。茜の肘鉄だった。諸にそれを食らった男は刃物を手放し数歩後ろに下がった。体をくの字に曲げて顔を強張らせて倒れそうになるのを必死に耐えている。そのままの姿勢で目の前に立つ茜を見た。
其処に居た茜は持っていた刃物を片手でへし折り、先ほどの乙女チックな顔は消え去り、鬼の形相になって男を見下ろしていた。
「よくも、よくもあたぃの心を踏み躙ってくれたね……落とし前はキッチリつけて貰うよ」
「た、助け……助けて……たすけ―――」
言い終わる前に男の顎が持ち上がった。茜の右足が男のだらしなく下がった下顎を蹴り上げたのだ。そして、海老反りに持ち上がった男の顔面目掛けて怒涛の茜の蹴りが襲い掛かった。
それも、一発やニ発じゃなく、百発の単位でだ。無数の茜の足が男の顔をグチャグチャにしていく。そのままフィニッシュとばかりに男の横面を回転の勢いのついた回し蹴りで蹴り飛ばす。地面に叩きつけられた際の男の顔は以前の美形など微塵もなく、全身がボコボコになった直視するのも躊躇われる程の酷い形相となっていた。
動かなくなった男を見下ろす茜。そのまま、後ろを振り返ると、ゴクアク組の下っ端達が手に武器を持ったまま茜を見ていた。しかし、先ほどの怒涛の攻撃と茜の怒りにすっかり気落ちしてしまったのか、一向に襲ってくる気配が見られなかった。
そんな情けない下っ端達に向い茜は睨みを利かせる。
「覚悟しなてめぇら! あたぃを殺したいんだったら命を掛けな! 半端な覚悟で来るような奴ぁ、このあたぃが蹴り砕いてやる!」
「な、舐めやがって! 相手は女一人だ! やっちまえ!」
下っ端の中の一人の合図で一斉に襲い掛かってくる。その光景を目の当たりにした茜の中で、怒りの炎は烈火の勢いで業火へと変貌を遂げた。
身につけていたテニスウェアを破り捨て、下着姿となった茜がまず最初に目の前に居た下っ端の顔面に強烈な踵落としを決める。グシャリと音がし、下っ端その一がその場に崩れ落ちた。
恐らく鼻の骨が砕けたのだろう。踵落としをした足を軸にしてその場で回転し回し蹴りを放つ。周囲に居た下っ端達の顎を見事に捉えて叩き付ける。この連続攻撃で周囲に居た下っ端達の殆どが倒れ伏す結果となった。
一瞬、正に一瞬の光景だった。テニスコート内には先の男とゴクアク組下っ端達の流した血で赤く染まっていた。
「姉御ぉぉ!」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ