第12話 恋するスケ番。乙女のハートは超合金!
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もレスキューと話しろよ」
残りは木戸茜と会わせるだけだった。その為番は早速この部屋内に居るであろう茜の名を呼んだ。しかし、番の呼び声に茜は反応しなかった。
部屋に居ないのか?
回りを見回してみたが、茜はすぐに見つかった。窓辺を眺めながら一人たそがれている姿を見る事が出来た。その背中は、何所となく彼女にしては微妙に違って見えた。
何と言うか、普段は突っ張ってる印象が見える彼女が、何所となく丸みを帯びたと言うべきか、少しおしとやかに見える気がした。
しかし、そんな変化に番が気付く筈もなく、づかづかと歩み寄り茜の肩に手を乗せた。
「おい、茜!」
「ふぇっ! な、なんだい?」
何時もの茜らしからぬ反応だった。普段だったらドリルと並んでレスキューにいちゃもんつけるか、もしくはレッドと共にそれを宥めてる筈だった。その茜が完全に上の空になっている。
明らかに変だ。そんな茜を見て番は片眉を吊り上げた。
「茜、一体どうしたんだ? 普段のお前らしくねぇぞ」
「ん? そ、そうかい……あたぃは何時も通りのつもりだけどねぇ」
普段を装っているつもりだろうが、明らかに変だ。それは彼女と喧嘩をし、共に幾多の激闘を潜り抜けてきた番だからこそ理解出来た。
今の茜は何所か違う。何と言うか、普段の茜とは違い余計に女性らしさが伺えるような気がした。
何時もの茜は姉御肌で強気でいて、それでいて常に負けん気が強いと言う印象があった。そんな印象が今の茜からは感じ取れない。
一体どうしたと言うのだろうか?
「茜、お前一体―――」
「悪いね番。心配かけちまったみたいでさ」
一言謝罪を述べた後、そそくさとその場を後にしようと歩き始めた。そんな茜の肩を番は掴み彼女を押しとめた。
「待てよ、悩みがあんなら相談しろよ! 俺達は仲間だろ?」
「御免、今は一人にしておいてくれないか」
「……分かった」
そっと番の手を退けた際の茜の手からは細くて可愛らしい年頃の女性の手の感触が感じられた。普段の強くて力強い木戸茜の印象とはまるで違う。
やはり何か変だった。上手くは言えないが、とにかく今の茜は変だったのだ。
もしかして、あいつ腹でも下してるのではないだろうか?
必死に番は自分の中で彼女の心境の変化について考えてみた。
生憎、番は腹を下した経験がない。轟家は番が8歳の頃から貧困との戦いだった為に結果として母恵を除いて番も真も体の方はかなり頑強になっていた。故にちょっとやそっとの事で病気になどならない。
薬代だって馬鹿にならないのだから。
では、テストなどでやばい点を取ったとかだろうか?
それも考えられなかった。以前見せてもらったのだが、木戸茜は実はかなりの才女なのだ。只腕っ節が強いだけでなく教養もあり、それでいて下の者達の面倒も
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