第四章
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「残念だけれどね」
「それじゃあどうだい?」
お爺さんはゲンナジーにこうも言う。
「うちの孫娘と」
「まだ会ってもいないけれど」
「ははは、それもそうか」
「そうだよ、それでどうかっていうのも」
ないというのだ。
「お爺さんはしゃぎ過ぎだよ」
「ははは、確かに」
「はしゃぎ過ぎて疲れない様にね」
「それは大丈夫だよ」
「どうしてかな、それは」
「いつも身体にいいものを食っておる、酒も控えておる」
だからだというのだ、そしてそれに加えて。
「孫娘もいるからのう」
「またそう言うんだ」
「とにかくいい娘じゃ」
目に入れても痛くない、そうした口調だった。
「本当によく来てくれたわ」
「ううん、本当にでれでれだね」
「孫はいいものじゃよ。特に可愛い娘はのう」
特にだというのだ。
「いいものじゃ」
「そういうことだね」
「まさにな」
お爺さんはゲンナジーとこう話した、そしてだった。
彼は隣の家で家族が増えたことを知った、その次の日に早速だった。
隣の家の畑に自分より幾分若い娘がいた、農家の作業服に身を包んだ小柄な娘だ。
その娘がだ、こう彼に言って来た。
「お隣さん?」
「うん、そうだよ」
その通りだとだ、ゲンナジーは娘に答えた。見れば娘は蜂蜜色の長い髪をキャップ帽、アメリカ調のその帽の中に収めて被っている。目は青く大きい、顔立ちは幼さが残るが唇は紅で小さく顔の形も丸いそれに合っている。
その彼女がだ、こう言ってきたのだ。
「そうなのね、宜しくね」
「うん、こちらこそ」
「私ターニャ=リトヴァクっていうの」
「お爺さんのお孫さんよね」
「そうよ、もうお祖父ちゃんから話を聞いてるのね」
「昨日ね、聞いてたんだ」
「そうなんだ」
「そうなの、高校を卒業してすぐにお父さんが失業して」
この辺りの事情もお爺さんが話した通りだった。
「こっちで就職することになったのよ」
「農業にだね」
「正直農業のことは知らないけれど」
初心者だ、しかしだというのだ。
「高校で園芸やってたから。温室を作ってね」
「温室?凄いね」
「いや、ビニールハウスよ」
温室は温室でもだというのだ。
「それ作ってその中でお花とか作ってたから」
「それいいよ」
「農業に?」
「うん、園芸と農業が土を使うものじゃない」
このことはその通りだ、肥料も水も使い育てるという観点からの言葉だ。
「だからね」
「使うといいのね」
「そう、いいよ」
こう言って太鼓判を押すゲンナジーだった。
「確かに農業と園芸では違うところが多いけれど」
「全くの素人でないっていうのね」
「そう、いいよ」
それでだというのだ。
「これから勉強していっても下地があるから」
「わかった
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