第二章
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「うちはいいジャガイモを多く作って売るんだよ」
「今みたいにね」
「うちはソ連の頃からジャガイモ作ってたんだよね」
ゲンナジーは両親にこのことを確認した、そのジャガイモを茹でて上にバターを乗せたものを口に入れながら。
「そうだよね」
「ああ、そうだ」
「その頃からよ」
まさにそうだと答える両親だった。
「ソ連が出来た頃からな」
「そうしているわ」
「だからそれだけにノウハウもあるんだ」
「ジャガイモの作り方にね」
それでだと話してだ、そしてだった。
二人はゲンナジーにだ、またこう言うのだった。
「わかったらな、ジャガイモを作ることを軸にしてな」
「うちはやっていくから」
「御前もまずはジャガイモの作り方を考えろ」
「それでやっていくのよ」
「それはわかってるけれどね」
それでもだとだ、まだ言うゲンナジーだった。
「何か他にも作りたいかなとも思うんだよね」
「まあジャガイモをおろしかにしないならいいがな」
「それならね」
両親も特に反対しなかった。
「御前がそうしたいなら別にいい」
「あくまでジャガイモが軸なら」
それならというのだ。
「お父さん達は反対しないからな」
「考えてみるといいわ」
「うちも金がないとやっていけないからな」
「お金がないと」
今のロシアはだ、この辺りがソ連時代とは全く違う。
「お金が入るものなら考えてみろ」
「少しでもいいから確実ならね」
「だが麦や果物はうちじゃ無理だからな」
「そのことは諦めてね」
「わかってるよ」
ゲンナジーの方もそのことはわかっている、それで麦や果物のことは最初から諦めていてそれで考えているのだ。
「僕も果物には興味がないから」
「やはり野菜だな」
父は言った。
「やるのならな」
「それだけだね」
「他は無理だ」
この家では、というのだ。
「出来ることと出来ないことがある」
「何でもだね」
「そうだ、だからな」
やるのならというのだ、他の作物を作るのなら。
「考えてみることだ」
「わかったよ、それじゃあね」
ゲンナジーは父の言葉に頷きそうしてだった。
彼はジャガイモ等を作りつつ何がいいか考えていた、その中で。
ふとだ、隣の農家から賑やかな声が聞こえてきた。ゲンナジーはその声を聞いてそのお隣に聞いたのだった。
「何かあったんですか?」
「いや、実はね」
「実は?」
「モスクワからわしの娘が帰ってきたんだよ」
「娘さんがですか」
「向こうに出て働いていて。結婚もしたんだけれどね」
お隣のお爺さん、ゲンナジーにも優しいこの人が話してくれた。
「旦那さんが失業してね」
「それでなんですか」
「相談受けてこう言ってやったんだ」
お爺さんはにこにことして話す。
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