第四章
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彼はトレーニングのやり方だけでなく食事も切り替えた、普段から好きだった肉よりも野菜、そして魚を多くしていった。しかも。
飲むものもだ、これもだった。
「ワインは、なのね」
「ああ、あまりな」
屋敷でだ、モンセラートに話す。
「飲まない様にしている」
「お水にしているのね」
「ミネラルウォーターだ」
水は水でも健康的なものにしているというのだ。
「そうしているからな」
「そうなのね」
「酒は太る」
水に比べて遥かにだ。
「ワインにしてもな」
「葡萄から作るものだから」
「そうだ、だからもうな」
「ワインは節制するのね」
「飲み過ぎはよくない」
酒、それ自体がだというのだ。
「それでだ」
「そこも考えているのね」
「ああ、それで動きはどうもな」
そうした様々な努力の結果だというのだ。
「戻ってきた」
「よかったわね」
「しかしな」
ここでだ、ベルゴンツィは首を傾げさせて妻にこう言ったのだった。
「まだ足りない気がする?」
「トレーニングに食事を変えても?」
「まだ足りないんじゃないか、俺には」
こうだ、真剣な顔で自分に問い聞かせるのだった。
「そう思うが」
「足りないもの」
「それは何だ」
妻のその黒い琥珀の様な目を見ながら言う。
「何なのだ」
「そうね、貴方牛の動きは見ているわよね」
「ああ」
このことは当然だ、それこそ一瞬でも目を離せばそれで終わりだ。闘牛士は牛と命のやり取りをしているのだから。
このことは言うまでもない、しかしモンセラートはこう夫に言った。
「まだ見ていないところがあるのじゃないかしら」
「まだ?」
「ええ、まだね」
妻は自分も考える顔で夫に話す。
「それが何かが問題だけれど」
「わからないな、俺はな」
「牛はいつも見ているのね」
「当たり前だ、俺は闘牛士だ」
それならばだというのだ。
「それなら当然のことだ」
「そうよね、けれどね」
「まだ足りない部分があるか」
「そうじゃないかしら」
「それなら何だ」
考える顔でだ、ベルゴンツィは自分と妻に問うた。
「俺がまだ見ていない牛の部分は」
「何かしらね」
モンセラートもわからない、このことは。
二人は今は悩んだ、まだ牛の見ていないところがあるのかどうか。そのことがどうしてもわからなかったのだ。
ベルゴンツィは毎日何度も何度も闘牛場でこれまで闘ってきた牛達の動きを思い出した、しかしそれでもだった。
何処もおかしくなかった、牛達の動きは細かい部分まで見ているつもりだ。
角に足、筋肉の動きもだ。まさに身体の細かい動きまで見てそのうえで間一髪でかわし剣を入れる、そうしてきた。
しかしまだ足りない部分があるのか、頭の中で何度も思い浮かべた、
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