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朝顔だけれど
第三章

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「凄いのよ、これが」
「真琴ちゃんもお料理得意よね」
「駄目駄目、沙緒里ちゃんには及ばないわ」
 そちらは全くだというのだ、真琴は右手を横に振ってこのことについてはこう言った。
「沙緒里ちゃん本当に凄いから」
「及ばないっていうのね」
「好きこそものの上手なれっていうけれど」
「沙緒里ちゃんお料理好きなの」
「そうなのよ」
「ふうん。それじゃあね」
 その話を聞いてだ、そのクラスメイトは真琴にこう言って来た。
「作ってみたら?一緒に」
「沙緒里ちゃんと?」
「そう、お料理なら身体も動かすし汗もかくでしょ」
「確かにね。お料理はスポーツよ」
 そう言ってもいいものだ、料理は身体をあちこちに動かし熱とも対峙する、まさにスポーツと言っていいものだ。
「カロリーも使うわ」
「だったらね」
「沙緒里ちゃんが落ち込んだ時に」
「そう、誘ってみたら?」
 こう真琴にアドバイスするのだった。
「ここはね」
「そうね、やってみる価値はあるわね」
 その話を聞いてだ、真琴も頷いた。
 そのうえでだ、こう言ったのだった。
「後で誘ってみるわ、沙緒里ちゃんをね」
「それで何を作るの?」
「手の込んだものといえば」
 真琴は腕を組んで考えた、そして言うことは。
「ハンバーグとか?」
「焼くまでは結構手が込むわね」
「ええ、だからね」
 ハンバーグにしようかというのだ。
「そうしようかしら」
「いいんじゃない?そっちは真琴ちゃんに任せるから」
「そうなのね」
「とにかくね。沙緒里ちゃんをね」
 よく落ち込む、今も落ち込んでいる彼女をだというのだ。
「上向きにさせてね」
「わかったわ、それじゃあね」
 こうして真琴は沙緒里を料理に誘うことにした、それでクラスメイト達と話をして暫く経ってからだった。
 沙緒里のところに行ってだ、こう声をかけた。
「ちょっといい?」
「真琴ちゃん?」
「うん、今日時間ある?」
「一応。けれど」
 それでもだとだ、沙緒里は沈んだ目と声で真琴に答えてきた。
「今は」
「気が乗らないの?」
「静かでいたいから」
 こう言うのだった。
「悪いけれど」
「お料理作るんだけれど」
 沙緒里がそう言うことはわかっていた、それでだった。
 真琴はクラスメイトと話をした通りだ、こう言ったのだった。
「どう?」
「お料理?」
「ハンバーグね」
 にこりと笑ってそのうえで沙緒里に話した。
「あとは付け合せも色々考えてるけれど」
「真琴ちゃん晩御飯作るの」
「さっき母ちゃんに言われたんだ」
 実は真琴から家にいる母に話したのだ、この辺りはあえてこう言ったのである。
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