第六章
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後
「出るか、もう」
「ああ、そうだな」
「自警団はどんどん酷くなってるしな」
「市長は一切対応しないからな」
「自分の身を守るのは自分だ」
「それならな」
「出ような」
彼等もどんどん逃げていった、街はどんどん寂れていった。小売の店も次から次に他の街へ移っていった。
役人達もだ、市長に愛想を尽かして。
「あいつは馬鹿だ」
「何もわかろうとしない」
「仕事をしようとしないからな」
「じゃあな」
「他の街に移るか」
「自警団は役所や警察にも攻撃してきてるしな
「それだったらな」
役人も逃げて行った、警官達もだ。彼等もまたどんどん逃げて行った。そして残ったのは自警団だけだった。
自警団の連中が役所や警察の仕事もする様になった、これを見て市民や役人達は余計に逃げた、彼等は横暴を極めしかもまともな仕事は全く出来なかったからだ。
もう誰も市長に意見を言わなかった、そして。
気付いた時には街はゴーストタウンになり果て誰もいなくなった家やビルだけが朽ち果てていっている惨状になっていた、道路には車はなくコンビニもガソリンスタンドも全て閉まっていた。市長が必死に誘致していた企業や他の街も。
「この街はどうしようもない」
「ここと提携しても駄目だ」
「治安が酷過ぎる」
「皆逃げているしな」
「我々も去ろう」
「ここからな」
こう言ってそしてだった、彼等もいなくなった。
街に残っているのは市長と自警団だけになっていた、市長は誰もいなくなった街を観て愕然としてこう言った。
「何故こうなったんだ」
その廃墟となった街を観ての言葉だ。
「ついこの前までこの国で一番栄えていた街だったというのに」
「貴方のせいです」
僅かに残った役人、年老いた彼が言って来た。
「貴方の愚かさのせいです」
「私のせいだというのだ」
「貴方は街の為に何もしませんでした」
「何もだと」
「市民を守ろうともせず誰の忠告にも耳を貸さずならず者達の好きにさせてきました」
「馬鹿な、他の街や大企業を誘致してきたぞ」
「それよりもです」
彼が思ってきていた仕事よりもだったというのだ。
「市民の為に動くべきだったのです」
「街の企業の為にか」
「貴方は本当に何もされませんでした」
面倒臭そうに返すだけだった。
「それがこの結果です」
「街が滅んだというのか」
「もうこの街には何もありません」
そして誰もいなくなっていた。
「これからも誰も寄り付かないでしょう」
「全て私のせいか」
「はい」
まさにだというのだ。
「誰も貴方を信用し尊敬していません」
「ではこの街は」
「終わりです、私もこれで」
年老いた役人は懐からあるものを出して来た、それは。
辞表だった、市長にそれを出して言うのだ
[8]前話 [1]次 最後
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ