第五章
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やはり市長は聞かなかった、またしても面倒臭そうに言うのだった。
「役所は民事には関わらないじゃないか」
「既に刑事です!」
「連中こそが犯罪者です!」
「街が犯罪者集団に乗っ取られているのですよ!」
「市長の権限で連中を街から一掃して下さい!」
「それが出来るのは市長だけです!」
「折角街の治安がよくなっているのにかね」
市長の面倒臭そうな顔は変わらない、全く。
「それでもかね」
「本気でそう仰るのですか」
「誰が犯罪者かご承知なのですか?」
「そして企業もですか」
「今回のことも」
「もう決めたよ」
街から追放するというのだ。
「いいじゃないか」
「くっ・・・・・・」
皆もう何も言う気は起こらなかった、最早どうしようもないとわかったからだ。かくしてこの企業は街から追放となりまたしても自警団の思う通りになった。
だがこの事態を見てだ、経営者達は思った。
「これはまずい」
「これではこの街で経営は出来ない」
「自警団と市長に睨まれたら法律も何もない」
「この街から追い出されるぞ」
「相手はならず者だ、どんな言いがかりをつけてくるかわからない」
「そんな連中が街を仕切っている、もう駄目だ」
「この街は終わりだ」
完全にだ、そうなるというのだ。
それでだ、また言うのだった。
「出た方がいいな」
「連中に何かされる前にな」
「この街から出よう」
「資本も従業員も全て引き揚げだ」
「街の人口は多いがこれでは経営以前だ」
「この街で企業の経営は出来ない」
「もう無理だ」
彼等はどんどん街から去り街から企業がなくなっていった、それを見て。
市民達もだった、やはり次々と。
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