第一章
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誰もいなくなった
その街は出来てから瞬く間に発展し今ではその国で最も栄えた街になった、人は多く様々な企業が集まりマーケット、闇市から出来たそこも賑わっていた。この国の法律で市長に権限が集まり市長は死刑のサインをする権利まで持っていた。
だが今はその街は狂っていた、そう言うしかなかった。
狂うには前兆がある、街の国民達は不安の中にあった。
「最近治安が悪いしな」
「ああ、警察じゃ頼りないよ」
「だからもっとしっかりしたのが欲しいな」
「そうだよな」
「だからな」
「ここはな」
彼等は警察よりも効果的、法律に完全にとらわれており動きも鈍い彼等よりも効果的に動き組織を欲していた、そして。
それに応えたのが出来御木太郎という人物だった、その彼がだ。
高らかにだ、こう言ったのである。
「じゃあ自警団を作れ」
「自警団か」
「それか」
「そうだ、団長は俺が務める」
他ならぬ彼がだというのだ。
「同志達も集めてな」
「じゃあ俺自警団に入るよ」
「俺もだ」
「俺もだよ」
すぐに何人かが名乗りを挙げた、こうして街の自警団が結成された。市民達はその彼等に寄付をし治安に頭を悩ませていた市長も彼等を支持した。
市長は言うのだった。
「ここは彼等に働いてもらおう」
「そうしてですね」
「この街の治安を回復させるのですね」
「警察では限界がある」
市長もこう考えて言うのだ。
「街の細部まで目が届かない」
「行政に手間がかかりますしね」
「どうしても」
「手間がかかることは避けたい」
市長は顔を顰めさせて言った。
「役所はやることが多いからな」
「はい、治安まで手を回すと」
「余計に」
「行政は忙しいんだ」
市長は言うのだった。
「だからだよ」
「はい、是非共」
「彼等に働いてもらいましょう」
役人達も市長の言葉に頷く、そしてだった。
自警団は動きだした、彼等は街の治安を乱すヤクザなりゴロツキ等を徹底的に取り締まった、捕まったならず者達は次々にリンチに遭った。
ならず者達は街から追い出されることになった、だが。
ここでだ、出来は言うのだった。
「おい、ならず者は追い出しても戻って来ないか?」
「ああ、そうなるな」
「こっそりとな」
「そうなったら面倒だな」
「じゃあどうするかだな」
自警団のメンバーも出来の言葉に応えて言う。
「ならず者達に戻られたら同じことの繰り返しだよ」
「それならどうするかだな」
「俺達が何とかしないといけないからな」
「それじゃあな」
「ここはやり方があるんだよ」
ここでだ、出来は言った。
「市長さんに言うんだよ、捕まえた連中を死刑にしてくれってな」
「俺達が言うんだな、市長さんに」
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