第二章
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「しかも今変わったばかりだから」
「じゃあ長く待つの?」
「待っててね」
こう建太君に言うしか出来ませんでした、今は。
「ちょっとだけね」
「うん、けれど」
「どうしたの?」
「漏れそう」
とんでもない言葉が出てきました。
「もう」
「えっ、我慢して」
「御免、何か」
「駄目よ、今はね」
絶対にだとです、理子さんも信号の方を見ながら必死に言います。
「我慢して」
「けれど」
「この十字路を超えたらすぐだから」
コンビニ、そこがあるというのです。
「だからね」
「我慢するの?」
「本当にちょっとだけよ」
理子さんは言いながら加藤さんみたいだっとも思いました、自分の言葉が。
「我慢してね」
「うん、それじゃあ」
建太君は理子さんの言葉を受けて必死で我慢することにしました、ですが。
信号はまだ青になりません、それで。
建太君はとても苦しそうな顔でこうお母さんに言うのでした。
「ねえ、信号ってね」
「ここ長いのよ」
「長いのはわかるけれど」
それでもだというのです。
「長過ぎるよ」
「こうした時はとても長く感じるのよ」
「そうなの?」
「そうよ、苦しい時に待ってるとね」
「時間は長くなるの」
「お母さんも健ちゃんみたいなことがあったから」
だからだというのです。
「わかるわ」
「お母さんもこういうことあったの:」
「誰にでもあるわよ」
理子さんはくすりと笑って建太君に答えました、今も信号を観ています。
「我慢していた時はね」
「おしっこ?うんち?」
「両方よ。それ以外のこともあったわ」
「おしっこやうんち以外にもなの」
「人間生きていたら我慢しないといけないことは多いのよ」
このことをです、今建太君に言うのです。
「おしっこやうんち以外にもね」
「そうなんだ」
「そうよ、だから健ちゃんも今は苦しくてもね」
うんちを我慢しないといけない、けれどその時以外にもというのです。
「我慢してね」
「うん、もうすぐだからね」
「そうよ、もうすぐね」
もうかなり待っています、ですから信号も変わるだろうというのです。
「我慢してね」
「わかったよ、お母さん」
建太君は今もにこりと笑って答えました、そうしてでした。
信号は遂に青になりました、それでです。
お母さんは車を一気に進ませました、そうしてすぐにコンビニに入り健太君を連れてトイレに駆け込みました、ですが。
何ともう既に誰かが入っていました、それで。
建太君はそのお顔をさらに真っ青にさせてこうお母さんに言いました。
「お母さん、もう」
「待って、もうすぐだから」
「開くの?」
「開かないおトイレはないから」
だからだというのです。
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