第一章
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大ピンチ
いきなりです、遠山理子さんは息子の建太君にこう言われました。
「お母さん、僕ね」
「どうしたの?」
車を運転している時にです、助手席の建太君に言われたのです。健太君はこの前に小学校に入ったばかりの男の子です、お顔はお父さんにそっくりです。
「何かあったの?」
「急にだけれど」
見れば建太君の顔はとても苦しそうです、その顔で言うのです。
「うんちしたくなったけれど」
「えっ、うんち?」
「うん、何処かに停まってうんちできる」
「駄目よ、今は」
道の左右は何もありません、理子さんはお家から離れた百貨店まで車を向かわせているところでした、百貨店にはいい品物が一杯あるからです。
そこに行く途中で、です。建太君が言い出したのです。
「百貨店はまだまだよ」
「駄目?」
「駄目よ」
絶対にだというのです。
「それは」
「けれど何か」
「我慢出来ないの?」
「うん」
建太君は辛そうな顔で答えます。
「ちょっと」
「困ったわね」
理子さんは建太君の言葉を聞いて難しい顔になりました。
「お家に戻ろうにも」
「お家から遠いの?」
「ちょっとね」
百貨店まで半分といったところです、戻るにも進むにも中途半端です。
それで、です。お母さんは建太君にこう言うのでした。
「けんちゃん、ちょっと我慢して」
「我慢するの?」
「ちょっとね」
ほんの少しだけというのです。
「そうして」
「うん、じゃあ」
建太君もお母さんの言葉に素直に頷きました。建太君はとても素直でいい子なのでお母さんの言うことにも素直なのです。
「そうするね」
「途中にコンビニがあるから」
そこでだというのです。
「うんちしていいからね」
「うん、じゃあ」
「それまで我慢して」
本当に少しだけというのです。
「お願いね」
「わかったよ、じゃあね」
「急ぐわよ」
理子さんは車のスピードを上げました、その時です。
ちらりと周り、ミラーまで確認しました。そのうえで言うのでした。
「パトカーもいないし」
「パトカーいたらよくないの?」
「今からスピードを上げるから」
だからだというのです。
「スピード違反で捕まったらね」
「駄目だよ、そんなことしたら」
けれどです、ここで。
建太君は理子さんに言いました、少し怒った顔で。
「スピード違反って悪いことだよね、お巡りさんに捕まる位に」
「それはね」
そう言われるとでう、理子さんも辛い顔で堪えます。
「そうだけれど」
「悪いことをしたら駄目だよ」
建太君はとても真面目な子です、だからこうお母さんに言うのです。
「だからスピード上げたら駄目だよ」
「けれど
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